ワンコ系ビジュ強め騎士はスパダリ魔法士の先輩に夢中
(どうしてこんなことになったのだろう…。)

アイリスは重い頭をうなだれるように馬に近づけた。
アイリスによく懐くこの馬もまた、目を閉じその額をアイリスの額にこすらせる。
ひとしきり甘えた馬は、首を下げ、背に乗る様にアイリスに促す。
慣れたように鞍に足をかけ、白い背にまたがると、馬はゆっくりと優雅に歩き出した。

高い背に乗ると、遠くの鍛錬場が目に入る。

そこは学園内で唯一魔法と武器の使用が認められている場で、魔法や武術の授業や自主鍛錬はそこで行われる。
ちなみにすぐ隣には医務室もある。

アイリスは放課後、寮に帰るまでの時間ほとんど毎日その場所で過ごしていた。

―――あの男が入学してくるまでは。

屈辱的な言葉を言われた入学式から数日間、アイリスはいつにもまして鍛錬に打ち込んでいた。


(女であっても、身体が細くても、非力でも…魔法は平等だ。)


アイリスは自分に言い聞かせるように心で唱えながら体内で魔力を磨き上げていく。
目を閉じ、身体の中心に意識を向け、全身を血液のように流れる魔力の内、不要物を漉し、練度の高い魔力だけを巡らせるイメージ。
冷静さを取り戻すために、アイリスが習慣づけている行為である。

早朝の鍛錬場は誰もおらず、一番集中できる。

だから、気を抜いていた。

近づく気配にハッとし、弾かれたように振り向く。
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