救済の魔女
その日から数週間。
彩羽は部隊の一員として活動しつついつも通りの日常を送っていた。
「皆ァ、席に着け~」
もうすぐ朝活が始まる時間。教室に入ってきたのは担任のツキミ……ではなく、副担任のロアールだった。
それに、彩羽はすぐに違和感を覚える。彩羽とツキミは同じ鏡を使って魔法学校まで来ており、ツキミと「また後でな」と会話しているのだ。
「今日は、紫苑先生はお休みです」
(違う、違う……!)
「ロアール先生っ!!」
彩羽は、ガタッと大きな音を立てながら立ち上がった。
「ロアール先生、今日私は学校内でツキミ先生と会って会話しています。休みなわけないでしょう?本当のことを教えてください!」
「……あ~、そういや、君は……」
それを聞いたロアールはため息をついたあと、彩羽を連れて空き教室まで移動する。
「……君にだけ、真実を教えてあげる。実は――」
ロアールは、ゆっくりと彩羽に真実を語った。見回りを行っていた時、魔法使いたちがツキミを攫ったのだという。今、ツキミの居場所を教師が総出で探しているそうだ。
「ロアール先生、ツキミ先生は大丈夫なんですか?」
「……何とも、言えな――」