溺愛!おさななじみにサンドされてドキドキが止まりません!

おかえり!

学校から家に帰ると玄関には、家族のものではないスニーカーが二足。
きれいに並んでいた。


家族のものではないけれど、そのスニーカーの主のことを私はよく知っている。


「ユウくんと、リョウくん……?」


まるでスニーカーに名前が書かれてあって読み上げるかのように、思い浮かんだ二人の男の子の名前を小さく口にして私は首を傾げた。


二人は近所に住んでいて、ふたつ年上の兄と同じ歳のいわゆるおさななじみである。
兄の友達だけど私も小さな頃から一緒に遊んでもらっていたし、昔も今もずいぶん可愛がってくれている。


いや、ちょっと度が過ぎるほどに可愛がられている。


小学校と、中学校と、同じ校内にいた頃は周囲から羨ましがられるほどだった。
ユウくんとリョウくんは世間で言うところのイケメンで、一緒にいるとただでさえ目立つ。


私を可愛がる彼らの姿に、面倒見の良さだとか優しさだとかを世の女子は見出すのだろう。
嫉妬されるのを通り越して、学校ではもはや私はユウくんとリョウくんの引き立て役のような存在だったし、私もそれが平和であるとわかっていたからその役に徹していた。


それも私が中学二年生までのことだ。


進学した兄とユウくんとリョウくんは、どこまで仲が良いものなのか。
家から近いという理由で同じ高校を選び、進学後二年生になっても仲良くしている。


そんな二人のスニーカーが家の玄関に並んでいるのは、特に不自然なことではなく日常みたいなものだった。


「おかえり、ハナちゃん」
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