溺愛!おさななじみにサンドされてドキドキが止まりません!

家族のような

リビングに繋がるドアが開いたかと思うと、ユウくんとリョウくんがまるで私を待ってたみたいに優しく名前を呼んで出迎えてくれる。
制服姿の二人は学校帰りに我が家に立ち寄ったパターンだろうか。


しかし、兄の姿も靴も見当たらないのだ。
私が玄関を見て首を傾げた理由はそこにある。


至極当然のようにユウくんが私の荷物を取ると、次にリョウくんが私の手を取りリビングへと歩を進めた。
エスコートというやつなのだろうか。
はたまたイケメン執事でも雇ってしまったような気分でもある。


手を引かれるままにリビングに入っても、兄の姿は見えないし、いるはずの母親の姿もない。
導かれるままにソファーに腰掛けて、ユウくんとリョウくんにサンドされてやっと「……お兄ちゃんと、お母さんは?」と声が出た。


「お兄ちゃんはバイト。遅れて来る人のカバーに入るって。あとお母さんも同じくってところ」


ユウくんが私の荷物を大事そうに床に起きながら現在の状況を解説してくれる。


「……はい?」


お兄ちゃんも、お母さんも不在という事実に頭が追いつかないのは私だ。


「二人とも、もともとシフトに入ってる人が出勤次第帰るからって。それまでハナちゃんを任された」


リョウくんがそう付け加えるとにこりと笑って私の頭をポンポンと撫でる。
ユウくんとリョウくんに血の繋がりはないけれど、ときに双子かと思うくらいにはいつも息がぴったりだ。
我が家にいることも妙に馴染んでいる。


とは言え、だ。


「……私ももう中学三年生っていうか、」


留守番くらいは一人でも平気なのだが。
それにうちの家族は年頃の男の子と私が一緒にいることには危機感は覚えないのだろうか。
家と娘を預ける信頼感とは。と、なりながらもユウくんとリョウくんならという気持ちもわからなくはない。


そう思いながら、私の両サイドに当たり前のように腰かけた二人を交互に見遣る。
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