さようなら
家の前に着いた。


相変わらず大きくて

豪華な家だ。


家の中は更に豪華だけど。


「お母さん、私。

敬太連れてきたわよ」


紗江が門に付いているマイクで

母親に話した。


門が自動で開いていく。


敷地に入った。


門から玄関まで

石畳の通路が続く。


玄関まで数十メートルもある。


玄関にたどり着く前に

玄関のドアが開いた。


紗江のお母さんだ。


「敬太君、いらっしゃい。

久しぶりね」


「こ、こんばんは…

ご無沙汰しております…」


「さぁ、とりあえず中に入って」


紗江のお母さんは

笑顔で僕を迎えてくれた。

僕は緊張して、

声が少し震えてしまった。



「敬太、上がって」


「うん… お邪魔します」


僕が紗江の家に来るのは

一年振りくらいだ。


家の中も相変わらず豪華だ。


玄関は五畳くらいは

あるだろうか。


もちろん大理石で出来ている。


そして玄関の目の前の壁には

大きな絵が飾られている。


その絵を見て、

あれ?っと思った。


「ここの絵、前と変わった?」


「うん。

お父さんが前のは友人に売って、

新しいのを買ってきたの」


「そう…」


以前はここに

綺麗な景色が描かれた絵が

飾られていた。


新しい絵は…


理解不能だ。


抽象的すぎて、素人の僕には

全く分からない。


でも、この家にある絵だから

かなりの金額がするのには

間違いないだろう。


「その絵、私はあまり

好きじゃないの。

だって、何が書いてあるのか

さっぱり分からないんだもん」


「そう…」


一瞬、「オレも」と

言いそうになった。


ダイニングに来た。


ダイニングも

驚かされるものばかりだ。


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