さようなら
私はそれどうしたの?

と聞いた。


姉が、靴下を見てきてごらんと

言った。


私は走って靴下を見に行った。


靴下の中にプレゼントが

入っていた。


私はそれを持って、また急いで

居間へ走った。


父と母が開けてごらんと言った。


私はドキドキしながら

プレゼントを開けた。


私のプレゼントも流行っていた

着せ替え人形だった。


その流行っていた着せ替え人形は

何人かのキャラクターがいて

姉とは違うキャラクターだった。


私はすごく嬉しかった。

ずっと欲しかった物だった。


私の家は裕福ではなかったから

普段はこんな高級な玩具を

買って貰える事はなかった。


嬉しくて嬉しくて、

私はずっと笑っていたのを

覚えている。



父と母があの時、知り合いの

子にではなく、私と姉の

プレゼントを買っていたんだと

気付くのは、もう少し先の

事だった。




「あの人形…」


「何?」


「私が小学生の時に

お父さんとお母さんから

着せ替え人形のクリスマス

プレゼントを貰ったでしょ?


あの人形、いつの間にか

どこかにいっちゃったなって」


「着せ替え人形…?


あぁ!あれね、

あの人形ならまだあるわよ」


「え!? まだあるの?」


「あるわよ。

あなたたち、あんなに

喜んでいたのに、

いつの間にか遊ばなくなって

しまうんだもん。


でも、またあなたたちが

それで遊ぶって言うといけないから

ちゃんと仕舞っておいたのよ。


結局、もう遊ばなかったけど」


「そうなんだ…」



いつの間にかどこかに

行ってしまったなんて

思っていたけど、

本当は私たちが飽きてしまった

だけなんだ…


それを母はちゃんと

仕舞っておいてくれたんだ…


< 23 / 66 >

この作品をシェア

pagetop