さようなら
僕はアルバムを手に取った。


僕と紗江のアルバムだった。


僕はゆっくりとアルバムを眺めた。



僕は紗江と出会って6年が経つ。


僕は高校を卒業し、

服飾の専門学校へ通う為に

この東京に出てきた。


その専門学校で僕と紗江は出会った。


僕はなかなかクラスに馴染めずに、

暫くは友達もいなかった。


そんな時、紗江が僕に

話し掛けてきてくれた。

「あの… 永井君、

もし良かったらみんなで

お昼食べに行かない?」

永井とは僕の苗字だ。


紗江の第一印象は

清楚でとてもしっかりした

人だと感じた。


言葉遣いもしっかりしていた。


それから僕は紗江たちと

良く一緒に居るようになった。


そして時間が経つに連れて

紗江と二人だけで居る時間も

多くなっていった。


多く一緒に居れば居るほど、

僕は紗江の事が気になるように

なった。


そんなある日の学校帰り…


「敬太… ちょっと話しが

あるんだけど…」


「ん? 何かな?」


紗江はいつになく

緊張しているようだった。


「あのね…

私、敬太の事が好きなの…

こんな私だけど、

良ければ付き合って

もらえないかな…」


断る理由は何一つなかった。


専門学校を卒業し、

僕らはそれぞれ働き始めた。


仕事も多少慣れてきた頃から

僕らは結婚を意識し始めた。


そして去年の秋に僕は

紗江の両親に会う為に

この家に来た…



「敬太、お待たせ。

夕食出来たよ」


「あ、うん…」


「あ! 勝手にアルバム見たな~」


紗江は笑顔で僕の隣りに座った。


「敬太と会って6年くらいかな。

まだ付き合ってない時から

ずっとこうやってアルバムに

してるんだよ」


「そうか…」


「これからもたくさん

増やしていこうね」


「うん…」


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