出席番号5番の彼女
5.
ーーー
ーー
ー
私が話をし終わった。
怖いくらいに
静まり返っている。
それもそのはずだ。
なぜなら嫌われているのは『私』。
悪口を言われているのも、陰口を言われているのも『私』。
毎日これ見よがしに真正面から「ブス」「死ね」と言われてきた私の、せめてもの対抗だ。
こっちには先生が、親が、世間が、ーー自分が、ついている。
あなたたちの悪口なんて、なにになるの?
そんなこと言ってるなら授業中にしっかり発言すればいいのに。
私は今、すべて言いたいことを言った。
でもまだ、やり残していることがある。
私は制服のスカートのポケットから取り出す。
大好きな、私を写すほど綺麗に銀色に輝いている、私の相棒。
ーー果物ナイフを。