「お前さえいなければ」と言われたので死んだことにしてみたら、なぜか必死で捜索されています
しばらく塔のそばで精霊師が仕事について説明するのを聞いていると、塔から誰か降りてきた。
それは初めて見る実物のセラフィーナ様だった。
セラフィーナ様は薄茶色のワンピースにショールを羽織っただけの恰好で、王太子の婚約者にしては随分貧相に見えた。
銀色の髪に青い目で、顔立ちもまあまあ整っているのに、どうにもオーラがないというかみすぼらしい。
精霊師たちはセラフィーナ様を見ると、途端に苦笑いのような顔になった。彼らは小声で説明する。
「セラフィーナ様は精霊を操ることが出来ないので、エリオット王子の命令で毎日あの塔で精霊に力を送っているのですよ。しかし、殿下の婚約者ともあろう方が力を送るだけではね」
「シャノン家にはセラフィーナ様のほかにも優秀なご令嬢が二人もいらっしゃるのに、どうして殿下はセラフィーナ様を選ばれたのか……」
精霊師たちの言葉に、周りの生徒たちも同意していた。
しかし、私には彼らの言葉に違和感を持った。
精霊に力を送ってはすぐに死なせてしまっていた私だからこそわかる。
精霊には一時的に大きな力を与えるより、緩やかな力を送り続けた方が、最終的にはいい結果が出るのだ。
セラフィーナ様が精霊に力を送っているのは、随分サフェリア王国の発展に繋がっているのではないか。
私は男爵家に戻ると、すぐさまセラフィーナ様の実績について調べた。
思った通り、セラフィーナ様が力を送った土地は例外なく精霊が増えて発展していた。
だというのに、その功績には誰も注目していない。効果が出るのが遅すぎて、誰もセラフィーナ様の力だと気づいていないのだろう。
(これ、使えるんじゃない……?)
セラフィーナ様の力に気づいていないのなら、私が利用することも出来るんじゃないか。
失敗したらどうしようかという不安もあったが、周りの精霊を操れる下位貴族たちが次々にいい結婚相手や仕事を見つけていく様を思い出すと、そんな不安は覆い隠されていく。
私は、学園で今まで隠していた精霊を操る力を披露することにした。
課外授業で訪れた荒れ地に、子供の時に作ったのよりずっと大きな花畑を作って見せる。
先生は興奮して、すぐさま学園長先生のところに私を連れて行った。それで私は、王宮の精霊師として推薦されることになった。
荒れ地に作らせたあの花畑はそのうち消えるだろう。
しかし、たくさんの精霊を使った今回は、数ヶ月は効力が持つはずだ。それまでに誤魔化してしまえば問題ない。
力を使って弱った精霊は、屋敷に連れ帰りこっそり処分した。
死んだ精霊たちを見ても可哀そうなんて気持ちはみじんも湧かなかったけれど、私の将来のための生贄になってくれてありがとうという感謝の気持ちは湧いてきた。
それは初めて見る実物のセラフィーナ様だった。
セラフィーナ様は薄茶色のワンピースにショールを羽織っただけの恰好で、王太子の婚約者にしては随分貧相に見えた。
銀色の髪に青い目で、顔立ちもまあまあ整っているのに、どうにもオーラがないというかみすぼらしい。
精霊師たちはセラフィーナ様を見ると、途端に苦笑いのような顔になった。彼らは小声で説明する。
「セラフィーナ様は精霊を操ることが出来ないので、エリオット王子の命令で毎日あの塔で精霊に力を送っているのですよ。しかし、殿下の婚約者ともあろう方が力を送るだけではね」
「シャノン家にはセラフィーナ様のほかにも優秀なご令嬢が二人もいらっしゃるのに、どうして殿下はセラフィーナ様を選ばれたのか……」
精霊師たちの言葉に、周りの生徒たちも同意していた。
しかし、私には彼らの言葉に違和感を持った。
精霊に力を送ってはすぐに死なせてしまっていた私だからこそわかる。
精霊には一時的に大きな力を与えるより、緩やかな力を送り続けた方が、最終的にはいい結果が出るのだ。
セラフィーナ様が精霊に力を送っているのは、随分サフェリア王国の発展に繋がっているのではないか。
私は男爵家に戻ると、すぐさまセラフィーナ様の実績について調べた。
思った通り、セラフィーナ様が力を送った土地は例外なく精霊が増えて発展していた。
だというのに、その功績には誰も注目していない。効果が出るのが遅すぎて、誰もセラフィーナ様の力だと気づいていないのだろう。
(これ、使えるんじゃない……?)
セラフィーナ様の力に気づいていないのなら、私が利用することも出来るんじゃないか。
失敗したらどうしようかという不安もあったが、周りの精霊を操れる下位貴族たちが次々にいい結婚相手や仕事を見つけていく様を思い出すと、そんな不安は覆い隠されていく。
私は、学園で今まで隠していた精霊を操る力を披露することにした。
課外授業で訪れた荒れ地に、子供の時に作ったのよりずっと大きな花畑を作って見せる。
先生は興奮して、すぐさま学園長先生のところに私を連れて行った。それで私は、王宮の精霊師として推薦されることになった。
荒れ地に作らせたあの花畑はそのうち消えるだろう。
しかし、たくさんの精霊を使った今回は、数ヶ月は効力が持つはずだ。それまでに誤魔化してしまえば問題ない。
力を使って弱った精霊は、屋敷に連れ帰りこっそり処分した。
死んだ精霊たちを見ても可哀そうなんて気持ちはみじんも湧かなかったけれど、私の将来のための生贄になってくれてありがとうという感謝の気持ちは湧いてきた。