「お前さえいなければ」と言われたので死んだことにしてみたら、なぜか必死で捜索されています
ルークさんはその後も私に色々質問してきた。サフェリア王国のどこに住んでいたのかとか、生家はどんなだったかとか、色々なこと。
正体を明かせない私は答えにくい質問を誤魔化すのに苦労してしまった。
しばらくするとルークさんは私を質問攻めにするのにも飽きたのか、今いるティエルの町について色々と話してくれた。
ここは帝都からは離れているけれど帝国の中心地の一つで、人がたくさん住んでいること。経済的に豊かで、外国から移り住む人も多いこと。
ただ、最近はレピドの町と同様に精霊が減ったせいで、この町にも瘴気が出始めているらしい。
ルークさんの話を興味深く聞いているうちに馬車はとある建物の前に到着した。
四階建ての立派な建物で、クリーム色の壁には窓がたくさん並んでいる。
ルークさんと同じく黒い制服を着た人たちも、普通の服を着た一般人らしき人たちもたくさん出入りしていた。とても賑やかな場所だ。
馬車から降りるとルークさんが説明してくれる。
「魔術師団がこの辺りで仕事をするときは、大抵この宿を借りてるんだ。だから安全対策はばっちりだよ」
「へぇー、すごいところですね」
立派な建物を下から眺めていたら、思わず感嘆の声が漏れた。
私はルークさんに連れられて建物の中へ足を踏み入れる。
中に入ると、ルークさんは受付の人と何か話していた。受付にいた制服の青年はルークさんと気安い間柄のようで、にこやかに話している。
話し終わったルークさんがこちらへ戻って来た。
「お待たせ、セラちゃん。無事にセラちゃんの部屋借りれたよ」
「わぁ、ありがとうございます。急に魔術師団の方達が使う宿屋にお邪魔してしまってすみません」
「全然大丈夫。セラちゃんは大事な協力者なんだから遠慮しないで。それに、この宿は魔術師団のためにいつも部屋を多めに開けておいてくれてるから心配いらないよ」
ルークさんはそう説明しながら鍵を渡してくれる。
木製のプレートのついた黒い鍵。プレートには部屋番号が書かれていた。私は三〇五号室を使っていいらしい。
「俺は四階の魔術師団用の部屋に泊まってるから、何かあったらいつでも来て。あ、メモ渡しとくよ」
「ありがとうございます」
ルークさんはそう言いながら、部屋番号の書かれたメモを渡してくれた。私はお礼を言ってそのメモを肩にかけていた麻の鞄にしまう。
「じゃあねー、セラちゃん。明日まで仕事はないからゆっくりしてね」
「はい、色々とありがとうございました」
私はルークさんに向かって頭を下げる。
ルークさんはひらひら手を振りながら去って行った。
正体を明かせない私は答えにくい質問を誤魔化すのに苦労してしまった。
しばらくするとルークさんは私を質問攻めにするのにも飽きたのか、今いるティエルの町について色々と話してくれた。
ここは帝都からは離れているけれど帝国の中心地の一つで、人がたくさん住んでいること。経済的に豊かで、外国から移り住む人も多いこと。
ただ、最近はレピドの町と同様に精霊が減ったせいで、この町にも瘴気が出始めているらしい。
ルークさんの話を興味深く聞いているうちに馬車はとある建物の前に到着した。
四階建ての立派な建物で、クリーム色の壁には窓がたくさん並んでいる。
ルークさんと同じく黒い制服を着た人たちも、普通の服を着た一般人らしき人たちもたくさん出入りしていた。とても賑やかな場所だ。
馬車から降りるとルークさんが説明してくれる。
「魔術師団がこの辺りで仕事をするときは、大抵この宿を借りてるんだ。だから安全対策はばっちりだよ」
「へぇー、すごいところですね」
立派な建物を下から眺めていたら、思わず感嘆の声が漏れた。
私はルークさんに連れられて建物の中へ足を踏み入れる。
中に入ると、ルークさんは受付の人と何か話していた。受付にいた制服の青年はルークさんと気安い間柄のようで、にこやかに話している。
話し終わったルークさんがこちらへ戻って来た。
「お待たせ、セラちゃん。無事にセラちゃんの部屋借りれたよ」
「わぁ、ありがとうございます。急に魔術師団の方達が使う宿屋にお邪魔してしまってすみません」
「全然大丈夫。セラちゃんは大事な協力者なんだから遠慮しないで。それに、この宿は魔術師団のためにいつも部屋を多めに開けておいてくれてるから心配いらないよ」
ルークさんはそう説明しながら鍵を渡してくれる。
木製のプレートのついた黒い鍵。プレートには部屋番号が書かれていた。私は三〇五号室を使っていいらしい。
「俺は四階の魔術師団用の部屋に泊まってるから、何かあったらいつでも来て。あ、メモ渡しとくよ」
「ありがとうございます」
ルークさんはそう言いながら、部屋番号の書かれたメモを渡してくれた。私はお礼を言ってそのメモを肩にかけていた麻の鞄にしまう。
「じゃあねー、セラちゃん。明日まで仕事はないからゆっくりしてね」
「はい、色々とありがとうございました」
私はルークさんに向かって頭を下げる。
ルークさんはひらひら手を振りながら去って行った。