「お前さえいなければ」と言われたので死んだことにしてみたら、なぜか必死で捜索されています
「ルークさん、この方は司教様なんですか? 随分お若いのですね」
「うん、一年前に代替わりしたばかりなんだ。おかげでこの町の精霊に対する扱いがかなり厳しくなって……」
こっそり尋ねると、ルークさんはげんなりした顔で言う。
「ルーク! しかもお前なんだ女連れで!! 勤務中じゃないのか!?」
「セラちゃんは魔術師団の協力者だよ。超優秀な精霊師なんだ。セラちゃんのおかげで隣のレピドの町の瘴気を減らせたくらいなんだから」
「はぁ!? 精霊師!? お前、そんなうさんくさい人間を連れているのか! 精霊師など見たくない! 私の前から立ち去れ!!」
司教様は叫ぶように言う。
肩でシリウスが不機嫌そうに唸っていた。
「そっちから絡んできたくせに……。セラちゃんにうさんくさいとか言わないでくれる? あと、立ち去れって俺今仕事で巡回中なんだけど」
「お前の事情など知るか。早くここから出て行け」
「はいはい。ごめんね、セラちゃん。うるさいのが絡んできて。ちょっと別のところ行こうか」
「え、あ、はい」
ルークさんは私の手を引いて引っ張って行く。
後ろからはまだ司教様の文句が聞こえていた。
「セラちゃん、本当ごめんねー。あの人さっき見たティエル教会の司教様。この町は教会の立場が強いから、町長より司教様の方が発言力があって大変なんだ」
「司教様は精霊がお嫌いなのですね……」
「うん。精霊を信じない人が多い帝国の中でも、あの人はかなり嫌っている方だと思う。あの司教様がこの町を牛耳ってるから、代替わりしてから精霊の減少が激しいんだ」
「それは大変……」
「あの人がこの町のトップでいる限り、たとえセラちゃんが精霊を呼び戻してくれても、いずれまたどこかに逃げていっちゃう可能性が高いと思うんだよ」
ルークさんは溜め息交じりにそう言った。
司教様が精霊を嫌っている町。それは一体どうしたらいいのだろう。
私の肩の上からシリウスが尋ねた。
『でも、そんな精霊に優しくない町なのによくここは廃墟にならなかったね。レピドの町よりよっぽど精霊の流出が進みそうなのに』
「今の司教様の前の司教様がこの国に珍しく精霊を大事にしてたから。前司教様は精霊は見えなかったみたいだけど、昔から伝えられている精霊に対するお礼の儀式とかは欠かさず行ってた」
『ふーん。その時の名残で精霊が残ってるんだ。じゃあ、その名残も消えたらレピドの町以上にひどいことになるかもね』
シリウスの言葉に、ルークさんはげっそりした顔でうなずく。
「なんとかしたいんだけどなぁ。どうすればいいのか」
『被害が出るまで待ってみたら? 頭の固い司教様も実際に追い込まれてみたら話聞く気になるんじゃない』
「それだと町の人に被害が出ちゃうじゃん」
シリウスの言葉に、ルークさんは難しい顔をしている。
何か方法はないかと私も考えてみたけれど、悲しいまでに何も思いつかなかった。
うんうん考え込んでいたルークさんは、やがて顔を上げて私の方を振り返った。
「ここで悩んでたってしょうがない。セラちゃん、巡回の続きに行こう。町を歩いてたら何か思いつくかも」
「はい、そうですね」
私はルークさんの言葉にうなずいた。
それから私たちは、再びティエルの町を巡回するため歩き出した。
「うん、一年前に代替わりしたばかりなんだ。おかげでこの町の精霊に対する扱いがかなり厳しくなって……」
こっそり尋ねると、ルークさんはげんなりした顔で言う。
「ルーク! しかもお前なんだ女連れで!! 勤務中じゃないのか!?」
「セラちゃんは魔術師団の協力者だよ。超優秀な精霊師なんだ。セラちゃんのおかげで隣のレピドの町の瘴気を減らせたくらいなんだから」
「はぁ!? 精霊師!? お前、そんなうさんくさい人間を連れているのか! 精霊師など見たくない! 私の前から立ち去れ!!」
司教様は叫ぶように言う。
肩でシリウスが不機嫌そうに唸っていた。
「そっちから絡んできたくせに……。セラちゃんにうさんくさいとか言わないでくれる? あと、立ち去れって俺今仕事で巡回中なんだけど」
「お前の事情など知るか。早くここから出て行け」
「はいはい。ごめんね、セラちゃん。うるさいのが絡んできて。ちょっと別のところ行こうか」
「え、あ、はい」
ルークさんは私の手を引いて引っ張って行く。
後ろからはまだ司教様の文句が聞こえていた。
「セラちゃん、本当ごめんねー。あの人さっき見たティエル教会の司教様。この町は教会の立場が強いから、町長より司教様の方が発言力があって大変なんだ」
「司教様は精霊がお嫌いなのですね……」
「うん。精霊を信じない人が多い帝国の中でも、あの人はかなり嫌っている方だと思う。あの司教様がこの町を牛耳ってるから、代替わりしてから精霊の減少が激しいんだ」
「それは大変……」
「あの人がこの町のトップでいる限り、たとえセラちゃんが精霊を呼び戻してくれても、いずれまたどこかに逃げていっちゃう可能性が高いと思うんだよ」
ルークさんは溜め息交じりにそう言った。
司教様が精霊を嫌っている町。それは一体どうしたらいいのだろう。
私の肩の上からシリウスが尋ねた。
『でも、そんな精霊に優しくない町なのによくここは廃墟にならなかったね。レピドの町よりよっぽど精霊の流出が進みそうなのに』
「今の司教様の前の司教様がこの国に珍しく精霊を大事にしてたから。前司教様は精霊は見えなかったみたいだけど、昔から伝えられている精霊に対するお礼の儀式とかは欠かさず行ってた」
『ふーん。その時の名残で精霊が残ってるんだ。じゃあ、その名残も消えたらレピドの町以上にひどいことになるかもね』
シリウスの言葉に、ルークさんはげっそりした顔でうなずく。
「なんとかしたいんだけどなぁ。どうすればいいのか」
『被害が出るまで待ってみたら? 頭の固い司教様も実際に追い込まれてみたら話聞く気になるんじゃない』
「それだと町の人に被害が出ちゃうじゃん」
シリウスの言葉に、ルークさんは難しい顔をしている。
何か方法はないかと私も考えてみたけれど、悲しいまでに何も思いつかなかった。
うんうん考え込んでいたルークさんは、やがて顔を上げて私の方を振り返った。
「ここで悩んでたってしょうがない。セラちゃん、巡回の続きに行こう。町を歩いてたら何か思いつくかも」
「はい、そうですね」
私はルークさんの言葉にうなずいた。
それから私たちは、再びティエルの町を巡回するため歩き出した。