「お前さえいなければ」と言われたので死んだことにしてみたら、なぜか必死で捜索されています
7.兆候 アメリア視点
「アメリア様! 本当にありがとうございました! あなたのおかげでまた村で作物を作れます!」
「いいえ、私は精霊師として当然のことをしたまでです」
今日も訪れた村で、私は十匹の精霊を生贄にして幻想でしかない川を作った。
水源がなくて困っていた村人たちは、これからは自由に水を使えると喜んで、何度もお礼を言ってきた。
私はそれをいまいましい気持ちで聞いた。
こんな川、数ヶ月後には干からびて元通りになってしまうのに。
(本当最悪……。どうしてセラフィーナ様はまだ見つからないのよ)
セラフィーナ様が消えてから一週間以上が経ったが、消息はまったくわからないらしい。
連日兵士たちが王都やその周辺を探し続けているのに、手がかりすら見つからないという。
さっさと見つけて私の不安をどうにかしてよ、と苛立たしく捜索の状況を見守っている。
セラフィーナ様が早く見つかって欲しいとは思うけれど、エリオット様が捜索に真剣に加わっているのは不愉快だった。
エリオット様はいつもセラフィーナ様を疎んじている様子だったのに、なぜあんなに必死で探しているのか理解できない。
むしろいなくなって清々しているとばかり思ったのに。
それだけシャノン家の娘との婚約は重要なものなのだろうか。なんにしろ複雑な気分だ。
そんなある日、恐れていたことが起きた。
私が以前森を作った場所で、木々が枯れ始めたと言うのだ。
そこは一年ほど前、近隣の住民を集めて「今から一瞬でこの荒れ地を緑豊かな土地にしてみせます」と言って作った森だった。
以前からセラフィーナ様が力を送っていた場所で、あともう少ししたら森が現れるのは予想できた。
私はそのことをこっそり調べた上で、私も力を送ってみてもいいか提案したのだ。
セラフィーナ様が数年かけて力を送っても、わずかな木々と草しか生えてこなかったその荒れ地は、私が訪れると一瞬で緑に溢れた森になった。
周りからの賞賛の声が気持ちよかった。
セラフィーナ様がやはり劣っていると評されるのを聞くのは、さらに気分がよかった。
しかし、その時の森の木々が今枯れかけていると言う。
精霊師の仲間からその報告を受けたとき、思わずいつも作っていた笑みが崩れ、顔を引きつらせてしまった。
「大丈夫ですよ、アメリア様! アメリア様がまた力を送ってくださればすぐに元通りになりますって」
「そうですよ。いくら聖女のアメリア様といえど、たまには魔法が失敗することもありますよ。一瞬木々が枯れ始めたことくらい気にすることはありません」
精霊師仲間はのん気にそんなことを言っている。
しかしもう一度同じことをすれば解決するわけではないのを、私は痛いほどよくわかっていた。
あの場所は、セラフィーナ様が力を送り続けてきたからこそ保たれていたのだ。
「……そうね。すぐに行くわ。村の人たちが困るものね」
「ええ、そうしましょう、アメリア様!」
「さすが聖女アメリア様です!」
精霊師たちは尊敬の眼差しでこちらを見てくる。いつもは気分のいい称賛の言葉が、今は鳥肌が立つほど不愉快に感じた。
今回はいつもよりたくさんの精霊を用意しようと思った。
たくさんの精霊を使って森を作らせれば、その幻の森は数ヶ月くらいは持ってくれるだろう。
「いいえ、私は精霊師として当然のことをしたまでです」
今日も訪れた村で、私は十匹の精霊を生贄にして幻想でしかない川を作った。
水源がなくて困っていた村人たちは、これからは自由に水を使えると喜んで、何度もお礼を言ってきた。
私はそれをいまいましい気持ちで聞いた。
こんな川、数ヶ月後には干からびて元通りになってしまうのに。
(本当最悪……。どうしてセラフィーナ様はまだ見つからないのよ)
セラフィーナ様が消えてから一週間以上が経ったが、消息はまったくわからないらしい。
連日兵士たちが王都やその周辺を探し続けているのに、手がかりすら見つからないという。
さっさと見つけて私の不安をどうにかしてよ、と苛立たしく捜索の状況を見守っている。
セラフィーナ様が早く見つかって欲しいとは思うけれど、エリオット様が捜索に真剣に加わっているのは不愉快だった。
エリオット様はいつもセラフィーナ様を疎んじている様子だったのに、なぜあんなに必死で探しているのか理解できない。
むしろいなくなって清々しているとばかり思ったのに。
それだけシャノン家の娘との婚約は重要なものなのだろうか。なんにしろ複雑な気分だ。
そんなある日、恐れていたことが起きた。
私が以前森を作った場所で、木々が枯れ始めたと言うのだ。
そこは一年ほど前、近隣の住民を集めて「今から一瞬でこの荒れ地を緑豊かな土地にしてみせます」と言って作った森だった。
以前からセラフィーナ様が力を送っていた場所で、あともう少ししたら森が現れるのは予想できた。
私はそのことをこっそり調べた上で、私も力を送ってみてもいいか提案したのだ。
セラフィーナ様が数年かけて力を送っても、わずかな木々と草しか生えてこなかったその荒れ地は、私が訪れると一瞬で緑に溢れた森になった。
周りからの賞賛の声が気持ちよかった。
セラフィーナ様がやはり劣っていると評されるのを聞くのは、さらに気分がよかった。
しかし、その時の森の木々が今枯れかけていると言う。
精霊師の仲間からその報告を受けたとき、思わずいつも作っていた笑みが崩れ、顔を引きつらせてしまった。
「大丈夫ですよ、アメリア様! アメリア様がまた力を送ってくださればすぐに元通りになりますって」
「そうですよ。いくら聖女のアメリア様といえど、たまには魔法が失敗することもありますよ。一瞬木々が枯れ始めたことくらい気にすることはありません」
精霊師仲間はのん気にそんなことを言っている。
しかしもう一度同じことをすれば解決するわけではないのを、私は痛いほどよくわかっていた。
あの場所は、セラフィーナ様が力を送り続けてきたからこそ保たれていたのだ。
「……そうね。すぐに行くわ。村の人たちが困るものね」
「ええ、そうしましょう、アメリア様!」
「さすが聖女アメリア様です!」
精霊師たちは尊敬の眼差しでこちらを見てくる。いつもは気分のいい称賛の言葉が、今は鳥肌が立つほど不愉快に感じた。
今回はいつもよりたくさんの精霊を用意しようと思った。
たくさんの精霊を使って森を作らせれば、その幻の森は数ヶ月くらいは持ってくれるだろう。