「お前さえいなければ」と言われたので死んだことにしてみたら、なぜか必死で捜索されています
9.精霊嫌いの司教様
「よーし、これで巡回終わり! 皇女様に報告できる!」
一通りティエルの町を回った後、ルークさんは伸びをしながら言った。
「ルークさん、町を案内してくれてありがとうございました。巡回について来てしまってごめんなさい」
「全然いいよ。俺も一人で寂しく町の見回りするより、セラちゃんみたいな可愛い子が一緒の方がいいし」
私が謝ると、ルークさんは明るい声でそう言ってくれる。本当にいい人だ。
『でも結局精霊嫌いの司教を何とかする方法は思いつかなかったね』
私の肩口からシリウスが顔を出して言った。
ルークさんはシリウスの言葉に遠い目になる。
「そうだね。歩いてるだけじゃやっぱり解決策は見つからなかったね……」
『どうにかならないの? ルークのさっき言ってた皇女様に、司教に精霊を敬うよう命じてもらうとか出来ないわけ?』
「皇女様は皇女様で精霊を信じてないからなぁ」
『どいつもこいつも使えない国だね』
シリウスはふわふわの眉間に皺を寄せて言う。
私はシリウスの眉間をつつきながら「そんなことを言ってはだめよ」と窘めておいた。
「司教様がどうにか精霊を認めてくれたらいいんだけどなぁ」
ルークさんは難しい顔をする。
「司教様はそもそもどうして精霊が嫌いなんでしょう」
「んー、あの司教様はラピス教の敬虔な信者だから、その教えに書かれていない精霊のことは認められないんだと思う」
「ラピス教……」
「サフェリア王国出身のセラちゃんは知らないか。ラピス教ってのは、ラピシェル帝国で国を挙げて信仰している宗教でね……」
ルークさんは、ラピス教について大まかに教えてくれた。
ラピス教では、女神ラピス様がこの世界の均衡を保っていると伝えられていること。
全ての恩恵は女神によって与えられており、女神の意に反することをすれば天罰が下ると信じられていること。
そもそもラピシェル帝国という国名は、ラピス様の名前からつけられたものらしい。
「ラピス教の聖典にはこの世に精霊などいないってニュアンスのことが書かれているから、敬虔な信者ほど精霊を信じないんだ。前司教様は例外だったみたいだけど」
「そうなんですね……。やはり信仰が関わっているとなると、考えを変えるのは難しいのでしょうか」
「そうだね、なかなかね……」
ルークさんは難しい顔のままそう言った。
何かいい方法はないかと考えてみるけれど、ちっとも思いつかない。
考え込んでいる私に向かってルークさんは言った。
一通りティエルの町を回った後、ルークさんは伸びをしながら言った。
「ルークさん、町を案内してくれてありがとうございました。巡回について来てしまってごめんなさい」
「全然いいよ。俺も一人で寂しく町の見回りするより、セラちゃんみたいな可愛い子が一緒の方がいいし」
私が謝ると、ルークさんは明るい声でそう言ってくれる。本当にいい人だ。
『でも結局精霊嫌いの司教を何とかする方法は思いつかなかったね』
私の肩口からシリウスが顔を出して言った。
ルークさんはシリウスの言葉に遠い目になる。
「そうだね。歩いてるだけじゃやっぱり解決策は見つからなかったね……」
『どうにかならないの? ルークのさっき言ってた皇女様に、司教に精霊を敬うよう命じてもらうとか出来ないわけ?』
「皇女様は皇女様で精霊を信じてないからなぁ」
『どいつもこいつも使えない国だね』
シリウスはふわふわの眉間に皺を寄せて言う。
私はシリウスの眉間をつつきながら「そんなことを言ってはだめよ」と窘めておいた。
「司教様がどうにか精霊を認めてくれたらいいんだけどなぁ」
ルークさんは難しい顔をする。
「司教様はそもそもどうして精霊が嫌いなんでしょう」
「んー、あの司教様はラピス教の敬虔な信者だから、その教えに書かれていない精霊のことは認められないんだと思う」
「ラピス教……」
「サフェリア王国出身のセラちゃんは知らないか。ラピス教ってのは、ラピシェル帝国で国を挙げて信仰している宗教でね……」
ルークさんは、ラピス教について大まかに教えてくれた。
ラピス教では、女神ラピス様がこの世界の均衡を保っていると伝えられていること。
全ての恩恵は女神によって与えられており、女神の意に反することをすれば天罰が下ると信じられていること。
そもそもラピシェル帝国という国名は、ラピス様の名前からつけられたものらしい。
「ラピス教の聖典にはこの世に精霊などいないってニュアンスのことが書かれているから、敬虔な信者ほど精霊を信じないんだ。前司教様は例外だったみたいだけど」
「そうなんですね……。やはり信仰が関わっているとなると、考えを変えるのは難しいのでしょうか」
「そうだね、なかなかね……」
ルークさんは難しい顔のままそう言った。
何かいい方法はないかと考えてみるけれど、ちっとも思いつかない。
考え込んでいる私に向かってルークさんは言った。