「お前さえいなければ」と言われたので死んだことにしてみたら、なぜか必死で捜索されています
「エリオット様……、セラフィーナ様の捜索状況はどうなっていますか?」
「え? まだ進展はないが……」
アメリアがセラのことを尋ねてきたのに少し驚きながらも言葉を返す。
「早く見つかるといいですわね。私、あの方のことが心配で心配で」
アメリアは眉根を寄せてそう言った。
アメリアがセラを心配?
以前のアメリアのセラを見るいまいましげな目を思い出し、首を傾げる。
この女はセラを好きでないように見えたが、俺の勘違いだったのだろうか。
アメリアの表情は、口先だけで心配しているとは思えないほど真剣だった。
「セラフィーナは必ず見つかる。心配しなくていい」
アメリアに対してと言うより、自分に言い聞かせるようにそう言った。
アメリアは強張った顔のままうなずく。彼女の顔には、何かに追い詰められたような焦燥が滲んでいた。
***
王宮に戻りアメリアと別れると、俺はすぐさま兵士たちのいる待機所まで向かった。
どうせ今日もセラの行方は見つかっていないだろう。
わかってはいるのに気が急いて仕方ない。
待機所から兵士が一人出てきたので捜索状況を尋ねようとすると、そいつは俺が声をかける前に駆け足で近づいて来た。
「エリオット殿下! お待ちしておりました!」
「どうした。セラフィーナの行方が見つかったのか」
期待しないまま一応尋ねる。しかし、兵士は予想外の言葉を返してきた。
「セラフィーナ様と外見の似た人物の目撃情報が入ってきました!」
「なんだと?」
兵士の言葉に面食らった。今まで全く手がかりすら見つからなかったと言うのに。
「どこだ。セラはどこにいたんだ?」
「まだ本人かどうかは確証が得られていませんが、ラピシェル帝国を旅してきたというその目撃者の話では、帝国で魔導士と一緒に国境付近の街を回っていたそうです」
「ラピシェル帝国?」
思ってもみなかった言葉に目を見開く。セラは外国まで行っていたというのだろうか。
「その魔導士というのはなんなのだ」
「帝国の国家魔導士の制服を着た男と一緒だったそうです。オレンジ色の髪で背の高い青年だったと」
「まさかセラはそいつに誘拐されたのではないだろうな。そうだ、怪我はしていなかったのか? 崖に血の付いたセラのショールが落ちていただろう」
「その者の話では特に健康に問題があるようには見えかったとのことです。見た目には怪我をしている様子も見られなかったと話していました」
兵士の言葉にいくらか安堵する。よく知らない男と一緒なのは気になるが、ひどい目に遭わされているわけではないのだろう。
「わかった。明日にでも帝国に向かおう」
「そ、そんな殿下! 殿下に帝国までご同行いただくなど! 私共で確認してまいりますから!」
「王太子の婚約者がいなくなったのだぞ。俺が行かなくてどうする」
俺は心配顔をする兵士を押し切り、明日の朝にはラピシェル帝国へ行くことに決めた。
なぜ思いつかなかったのだろう。
逃亡するのなら、真っ先に外国を考えてもいいはずだったのに。
崖の付近で血のついたショールが見つかったのに囚われて、けがをしているのなら遠くにはいっていないと思い込んでしまった。
「セラ……! すぐ迎えにいくからな……!」
早くセラを見つけてやらなければ。
俺がいなくて、セラはきっと困っているはずだ。
「え? まだ進展はないが……」
アメリアがセラのことを尋ねてきたのに少し驚きながらも言葉を返す。
「早く見つかるといいですわね。私、あの方のことが心配で心配で」
アメリアは眉根を寄せてそう言った。
アメリアがセラを心配?
以前のアメリアのセラを見るいまいましげな目を思い出し、首を傾げる。
この女はセラを好きでないように見えたが、俺の勘違いだったのだろうか。
アメリアの表情は、口先だけで心配しているとは思えないほど真剣だった。
「セラフィーナは必ず見つかる。心配しなくていい」
アメリアに対してと言うより、自分に言い聞かせるようにそう言った。
アメリアは強張った顔のままうなずく。彼女の顔には、何かに追い詰められたような焦燥が滲んでいた。
***
王宮に戻りアメリアと別れると、俺はすぐさま兵士たちのいる待機所まで向かった。
どうせ今日もセラの行方は見つかっていないだろう。
わかってはいるのに気が急いて仕方ない。
待機所から兵士が一人出てきたので捜索状況を尋ねようとすると、そいつは俺が声をかける前に駆け足で近づいて来た。
「エリオット殿下! お待ちしておりました!」
「どうした。セラフィーナの行方が見つかったのか」
期待しないまま一応尋ねる。しかし、兵士は予想外の言葉を返してきた。
「セラフィーナ様と外見の似た人物の目撃情報が入ってきました!」
「なんだと?」
兵士の言葉に面食らった。今まで全く手がかりすら見つからなかったと言うのに。
「どこだ。セラはどこにいたんだ?」
「まだ本人かどうかは確証が得られていませんが、ラピシェル帝国を旅してきたというその目撃者の話では、帝国で魔導士と一緒に国境付近の街を回っていたそうです」
「ラピシェル帝国?」
思ってもみなかった言葉に目を見開く。セラは外国まで行っていたというのだろうか。
「その魔導士というのはなんなのだ」
「帝国の国家魔導士の制服を着た男と一緒だったそうです。オレンジ色の髪で背の高い青年だったと」
「まさかセラはそいつに誘拐されたのではないだろうな。そうだ、怪我はしていなかったのか? 崖に血の付いたセラのショールが落ちていただろう」
「その者の話では特に健康に問題があるようには見えかったとのことです。見た目には怪我をしている様子も見られなかったと話していました」
兵士の言葉にいくらか安堵する。よく知らない男と一緒なのは気になるが、ひどい目に遭わされているわけではないのだろう。
「わかった。明日にでも帝国に向かおう」
「そ、そんな殿下! 殿下に帝国までご同行いただくなど! 私共で確認してまいりますから!」
「王太子の婚約者がいなくなったのだぞ。俺が行かなくてどうする」
俺は心配顔をする兵士を押し切り、明日の朝にはラピシェル帝国へ行くことに決めた。
なぜ思いつかなかったのだろう。
逃亡するのなら、真っ先に外国を考えてもいいはずだったのに。
崖の付近で血のついたショールが見つかったのに囚われて、けがをしているのなら遠くにはいっていないと思い込んでしまった。
「セラ……! すぐ迎えにいくからな……!」
早くセラを見つけてやらなければ。
俺がいなくて、セラはきっと困っているはずだ。