「お前さえいなければ」と言われたので死んだことにしてみたら、なぜか必死で捜索されています
11.再会
ラピシェル帝国に来て一ヶ月ほどが経った。
今日も私はティエルの町の宿で目を覚ます。
「ああ、毎日本当に楽しいわ……!」
朝、カーテンを開けて窓から差し込んでくる光を浴びたら、無意識に声を上げてしまった。
私は相変わらず人が住めなくなってしまったレピドの町に通い、戻ってきたらティエルの町で精霊に力を送って瘴気を浄化してもらうという生活を続けている。
精霊の存在を認めていなかったティエルの町の司教様も、メアリーちゃんが瘴気で倒れ、私が精霊に頼んでそれを治してもらってからはすっかり態度が軟化した。
現在は精霊を祀るための儀式を頻繁に行い、町の住民にも精霊の加護や役割について説いてくれるようにまでなった。
そのおかげか、この町に居つかなかった精霊が少しずつ増え始めている。
一時は息苦しささえ感じた町の空気は、今はかなり澄んでいた。
町がだんだんよくなっていく様子を見るのはとてもいい気分だ。
『セラ―、今日は教会に行くんだっけ?』
「ええ、司教様が教会に来るよう誘ってくれたらしいの! 正門から来いですって!」
今日はルークさんに、精霊に力を送るのはお休みにして教会へ遊びに行こうと誘われていた。
なんでも、司教様が子供たちが会いたがっているから来てもいいと言ってくれたらしい。
『あの司教様、随分と態度が変わったね』
「そうね、嬉しいわね」
『変わり身が早いよね』
「シリウスったら。仲良くしてくれる気になったんだからいいじゃない」
私はひねくれたことばかり言うシリウスを窘めながら支度する。
着替えて部屋を出ると、玄関ホールで待っていてくれたルークさんと合流して、早速教会へ向かった。
***
初めて教会の正門から入ると、しかめ面の司教様と笑顔の子供たちが出迎えてくれた。
「ルーク・アーレントとセラ。よく来たな。みんな待っていたぞ」
司教様は、人をもてなす顔にはとても見えない仏頂面で歓迎の言葉を述べてくれる。
「司教様、お招きありがとー。なんで俺だけフルネームなの?」
「前からそう呼んでいただろう。セラの苗字は知らないだけだ」
「俺のこともルークって呼んでいいよ。ルーク・アーレントだと距離感じるじゃん。もっと仲良くなろうよ」
「断る。お前などと慣れ合うつもりはない」
司教様はあっさりそう言ってそっぽを向いてしまう。
私がその様子を笑いながら見ていると、スカートをくいくい引っ張られた。
「セラちゃん、この前はありがとう」
「メアリーちゃん!」
下を見ると、そこには恥ずかしそうにこちらを見上げるメアリーちゃんがいた。
瘴気で呼吸をするのも苦しそうだったメアリーちゃんは、すっかり元気になった様子で立っている。
「よくなったんですね! 安心しました!」
「セラちゃんのおかげ」
メアリーちゃんはやっぱり恥ずかしそうにそう言う。
今日も私はティエルの町の宿で目を覚ます。
「ああ、毎日本当に楽しいわ……!」
朝、カーテンを開けて窓から差し込んでくる光を浴びたら、無意識に声を上げてしまった。
私は相変わらず人が住めなくなってしまったレピドの町に通い、戻ってきたらティエルの町で精霊に力を送って瘴気を浄化してもらうという生活を続けている。
精霊の存在を認めていなかったティエルの町の司教様も、メアリーちゃんが瘴気で倒れ、私が精霊に頼んでそれを治してもらってからはすっかり態度が軟化した。
現在は精霊を祀るための儀式を頻繁に行い、町の住民にも精霊の加護や役割について説いてくれるようにまでなった。
そのおかげか、この町に居つかなかった精霊が少しずつ増え始めている。
一時は息苦しささえ感じた町の空気は、今はかなり澄んでいた。
町がだんだんよくなっていく様子を見るのはとてもいい気分だ。
『セラ―、今日は教会に行くんだっけ?』
「ええ、司教様が教会に来るよう誘ってくれたらしいの! 正門から来いですって!」
今日はルークさんに、精霊に力を送るのはお休みにして教会へ遊びに行こうと誘われていた。
なんでも、司教様が子供たちが会いたがっているから来てもいいと言ってくれたらしい。
『あの司教様、随分と態度が変わったね』
「そうね、嬉しいわね」
『変わり身が早いよね』
「シリウスったら。仲良くしてくれる気になったんだからいいじゃない」
私はひねくれたことばかり言うシリウスを窘めながら支度する。
着替えて部屋を出ると、玄関ホールで待っていてくれたルークさんと合流して、早速教会へ向かった。
***
初めて教会の正門から入ると、しかめ面の司教様と笑顔の子供たちが出迎えてくれた。
「ルーク・アーレントとセラ。よく来たな。みんな待っていたぞ」
司教様は、人をもてなす顔にはとても見えない仏頂面で歓迎の言葉を述べてくれる。
「司教様、お招きありがとー。なんで俺だけフルネームなの?」
「前からそう呼んでいただろう。セラの苗字は知らないだけだ」
「俺のこともルークって呼んでいいよ。ルーク・アーレントだと距離感じるじゃん。もっと仲良くなろうよ」
「断る。お前などと慣れ合うつもりはない」
司教様はあっさりそう言ってそっぽを向いてしまう。
私がその様子を笑いながら見ていると、スカートをくいくい引っ張られた。
「セラちゃん、この前はありがとう」
「メアリーちゃん!」
下を見ると、そこには恥ずかしそうにこちらを見上げるメアリーちゃんがいた。
瘴気で呼吸をするのも苦しそうだったメアリーちゃんは、すっかり元気になった様子で立っている。
「よくなったんですね! 安心しました!」
「セラちゃんのおかげ」
メアリーちゃんはやっぱり恥ずかしそうにそう言う。