「お前さえいなければ」と言われたので死んだことにしてみたら、なぜか必死で捜索されています
『ルークもそう思うよね。僕もずっとおかしいと思ってたんだ。でも、セラは生まれた家からして異常だったからいくら言っても全然気づいてくれないんだよ』
「シリウス……。セラちゃんの言ってた話は全部本当なの?」
『本当だよ。セラは公爵家ではろくに食べ物も与えられず物置小屋に押し込められていて、エリオットの婚約者に選ばれてからも本宮殿と離れた寂れた別邸で暮らさせられてた。その上エリオットが別の精霊師の女と婚約したいみたいなことを言いだしたから、セラは邪魔にならないようにって自死したことにして王国を出てきたんだ』
シリウスの言葉にルークさんの表情がさらに固くなる。
「確かに最初に会ったとき、セラちゃんは自分が国を出てもサフェリア王国では誰も困らないって言ってて不思議に思ってたけど……。でも、まさかそんなひどい扱いされてるなんて……」
ルークさんの固い表情を見て、誤解を与えてしまったかと思い、私は慌てて言った。
「ルークさん、違うんです! 少なくとも私、エリオット様にはひどい扱いなんてされていません! シリウスの言っていた精霊師というのは、私よりずっと能力が高くて、精霊を自在に操れる素晴らしい方なんです。だからエリオット様が婚約者を代えたいとおっしゃるのも無理からぬことで……」
「セラちゃん、やっぱりそれ帰らない方がいいよ」
ルークさんはそう言うと私の手首をがっしり掴む。
兵士をちらりと振り返ったルークさんは、懐から杖を取り出して彼らに向けた。
ルークさんが何か呪文を唱えると、部屋中を強い光が照らし出した。眩しさに思わず目を瞑り、おそるおそる目を開けると部屋にいた兵士たちが倒れ込んでいた。
「ル、ルークさん!? 何を……!」
「大丈夫、眠らせただけ。逃げよう、セラちゃん! そんな場所に帰っちゃだめだよ!」
ルークさんは私の手を引くと、迷いなく部屋を出て宿の廊下を駆けて行く。
途中で気づかれ、宿の入り口の方で待機していた別の兵士が追いかけてきた。前方からも後方からも兵士の足音がして、はさみうちのような格好になる。
ルークさんは舌打ちすると、掴んでいた手を離してから私の背と足に手を回し抱き上げた。
「え、え、あの……!!」
「セラちゃん、ごめんね!! ちょっと我慢してて!!」
ルークさんはそう言いながら、私を抱えたまま開いている窓に向かって飛び乗る。
まさか飛び降りる気じゃ……。
ちらりと下を見て青ざめた。ここは三階だ。人一人抱えたまま怪我無く降りられるとは思えない。
私がぎゅっと目を瞑ると、ルークさんが何かを呟く声が聞こえてきた。
薄目を開けて見てみると、私たちの周りに光の粒が舞っていた。途端に体が軽くなる感じがする。
ルークさんは迷いなく窓を飛び降り、私の視界はぐらぐら揺れた。
しかし予想していたような衝撃はなく、私たちはあっさり地面に降り立っていた。
「シリウス……。セラちゃんの言ってた話は全部本当なの?」
『本当だよ。セラは公爵家ではろくに食べ物も与えられず物置小屋に押し込められていて、エリオットの婚約者に選ばれてからも本宮殿と離れた寂れた別邸で暮らさせられてた。その上エリオットが別の精霊師の女と婚約したいみたいなことを言いだしたから、セラは邪魔にならないようにって自死したことにして王国を出てきたんだ』
シリウスの言葉にルークさんの表情がさらに固くなる。
「確かに最初に会ったとき、セラちゃんは自分が国を出てもサフェリア王国では誰も困らないって言ってて不思議に思ってたけど……。でも、まさかそんなひどい扱いされてるなんて……」
ルークさんの固い表情を見て、誤解を与えてしまったかと思い、私は慌てて言った。
「ルークさん、違うんです! 少なくとも私、エリオット様にはひどい扱いなんてされていません! シリウスの言っていた精霊師というのは、私よりずっと能力が高くて、精霊を自在に操れる素晴らしい方なんです。だからエリオット様が婚約者を代えたいとおっしゃるのも無理からぬことで……」
「セラちゃん、やっぱりそれ帰らない方がいいよ」
ルークさんはそう言うと私の手首をがっしり掴む。
兵士をちらりと振り返ったルークさんは、懐から杖を取り出して彼らに向けた。
ルークさんが何か呪文を唱えると、部屋中を強い光が照らし出した。眩しさに思わず目を瞑り、おそるおそる目を開けると部屋にいた兵士たちが倒れ込んでいた。
「ル、ルークさん!? 何を……!」
「大丈夫、眠らせただけ。逃げよう、セラちゃん! そんな場所に帰っちゃだめだよ!」
ルークさんは私の手を引くと、迷いなく部屋を出て宿の廊下を駆けて行く。
途中で気づかれ、宿の入り口の方で待機していた別の兵士が追いかけてきた。前方からも後方からも兵士の足音がして、はさみうちのような格好になる。
ルークさんは舌打ちすると、掴んでいた手を離してから私の背と足に手を回し抱き上げた。
「え、え、あの……!!」
「セラちゃん、ごめんね!! ちょっと我慢してて!!」
ルークさんはそう言いながら、私を抱えたまま開いている窓に向かって飛び乗る。
まさか飛び降りる気じゃ……。
ちらりと下を見て青ざめた。ここは三階だ。人一人抱えたまま怪我無く降りられるとは思えない。
私がぎゅっと目を瞑ると、ルークさんが何かを呟く声が聞こえてきた。
薄目を開けて見てみると、私たちの周りに光の粒が舞っていた。途端に体が軽くなる感じがする。
ルークさんは迷いなく窓を飛び降り、私の視界はぐらぐら揺れた。
しかし予想していたような衝撃はなく、私たちはあっさり地面に降り立っていた。