後輩が転生してきた推しだと言われましても
 ガンッ

「〜!!!いっっ!!たっ!」

  思い切り膝を机にぶつけ、結衣は膝を抱えて倒れ込み、悶絶した。

「大丈夫ですか!?」
「くっ、大丈夫じゃない、佐伯君のせいだ……」
「えぇ……」

 類は結衣の状態に驚いて少し酔いが覚めたようだ。

「痛いけど、佐伯君ようやく覚めたみたいだし、帰ろ」
「……はい」


 そうして、店を出ると、店の外は豪雨だった。バケツをひっくり返したような、という例えをよく聞くが、そんな例えでは収まりきらないほどの雨。

「なんで?予報で雨だなんて言ってなかったのに」
「この雨のせいで、電車も止まってるみたいですね」
「本当に!?うわぁ、どうしよう、ネカフェ開いてるかな……」

 結衣が近くのネカフェがないかスマホで調べていると、横にいた類が、結衣の目の前に移動する。

「俺、実は家がこの近くなんですよ。結衣さん、雨が止むまで家に来ませんか」
「……はい?」
「この雨だから空いてるネカフェ見つけるのも大変だと思います。タクシーだって捕まらないだろうし。……近くのラブホと俺の家、どっちがいいですか。別に変なことはしません」
「待って、何その二択!?」

 戸惑う結衣をよそに、類はいたって平然としている。
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