後輩が転生してきた推しだと言われましても

六話 推し変とか絶対に許さないから

「ねぇ、ずっと聞きたかったんだけど。類とルシエル、どっちが好きなの?」

 その質問に、結衣の顔は急激に赤くなる。結衣の顔を見て、類は目を細めた。

「あぁ、でも(るい)は結衣さんにとってはただの後輩でしかないですよね。どうしたら意識してもらえますか?このまま抱いたら男として意識してくれます?」
「なっ……!」
「結衣さんが嫌がるならやめますよ、もちろん。結衣さんとはちゃんと先輩と後輩として仕事をうまくやっていきたいですし。でも、結衣さんが(るい)のことを受け入れてくれるなら、今すぐにでも抱き潰します」

 類の言葉に結衣は瞳を潤ませてさらに顔を真っ赤にする。

「その反応、良いように受け取っても良いですか?嫌ならちゃんと拒否しないと本当に抱きますよ。……あ、それともあれか」

 そう言って類は少しだけ寂しそうな顔をして結衣の耳元に口を寄せる。

「俺に抱かれるってことは、結局は推しであるルシエルに抱かれるってことだから拒否できないですかね」

 そっと囁くように言われた言葉に、結衣は心臓が跳ね上がった。

「どうして、そんな、意地悪なこと言うの……?」

 結衣にとって類は確かに可愛い後輩だ。顔がルシエルに似ているから最初はドキドキすることもあった。でも、仕事を一緒にしている時、滅多に笑わない類の笑顔を見て胸が高鳴ったのだ。それはルシエルとは関係なく、類を異性として意識した瞬間だった。
 それからは異性として意識しないように、あくまでも大切な後輩で仕事のパートナーだからと自分に言い聞かせてきたのだ。それはむしろ結衣が類を異性として意識している確実な証拠だった。
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