後輩が転生してきた推しだと言われましても
「結衣さんは自分のこと好きかどうかもわからないような男に抱かれても平気なわけ?」
「平気じゃないよ!でも、佐伯君だし……もしかしたらって淡い期待もあって……、ってゆーか、佐伯君に好きだと思ってもらえてるなんて全くわからなかったよ?」

 焦りながら反論する結衣に、類はあーと呟き、目を細めて頭をかいた。

「確かに、ちゃんと伝えてはいなかったかもしれません。俺は、俺に色目を使わず仕事のパートナーとして対等に扱ってくれる結衣さんのこと、最初の頃から気に入ってましたよ。まぁ、決定的だったのは、ルシエルを推してるって知った時ですけど。実際、ゲームのルシエルは俺のようで俺じゃないけど、それでも嬉しかったです」

(うっ、そういえば食堂での会話、聞かれてたんだった。あの時はもうルシエルの記憶があったってことだものね)

 突如襲ってくる恥ずかしさに、結衣は思わず顔を両手で隠そうとするが、類に手を掴まれて阻まれる。

「俺の気持ち、ちゃんとわかってもらえました?」

 類に聞かれ、結衣はぶんぶんと大きく頷く。

「そういうわけで、これから一生、俺に堕ち続けてくださいね。推し変とか絶対に許さないから」

 異常なほどの色気を纏ったその男に、結衣は全てを囚われる。ぼうっと類の顔を見つめていると、類の顔が近づいてきた。

(推し変なんかできるわけがない、もうこんなに堕とされているのに)

 結衣はそう思いながら瞳をそっと閉じ、類の唇の感触を感じていた。


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