後輩が転生してきた推しだと言われましても

三話 ルシエル様の生まれ変わり

ガヤガヤ……

「で、相談したいことって?」

 類に突然相談したいことがあると言われた結衣は、居酒屋の個室で類に尋ねた。相談となればファミレスやバーなどよりも居酒屋の個室が手っ取り早い。

「あ、お酒何か飲む?飲んだ方が話しやすいなら飲んでもいいよ。私は飲まないけど」

 相談される側が飲んでしまうと相談にならない、そんな気がして結衣は飲まない宣言をする。類はその間もずっと黙り込んだままだ。

(なんだろうな、あの会場の入り口にいたことも驚いたけど、相談ってなんだろう。仕事のこと?佐伯君、なんでもそつなくこなしているから困ったことなさそうって思ってたけど、何か困ってたのかな)

 何か困っていたのならそれに気づけなかった先輩である自分にも責任はある。

「相談って仕事のことかな?何か困ってた?そうだったら気づけなくてごめんね。ここでなんでも話してくれて構わないから」

 ね?と首を傾げて結衣が言うと、類は結衣の顔を見て眉を顰める。

「仕事、のことでは、ないです」

 仕事のことではないとなると、他に何があるのだろう。仕事以外のことで相談を受けるほど、類と親交を深めていたつもりはない。ますます不思議になって類をじっと見つめていると、類は静かに深呼吸してから徐に口を開いた。
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