居候が恋に落ちるまで【新作】
あとで知ったのだが、婚活をしている男は、怪しげな女から投資の話を持ちかけられることが多いとか。

「問題は、もう私たちは一軒家を維持できないし、早くケアハウスに入りたいのよ。美音里に家を譲るにも、生前贈与は税金が高いからダメってお父さんがうるさいし。とにかく、美音里にはもうキャンピングカー生活なんてやめてもらわないと」

母がぼやく。

「だけど私、あの家に住む気はないよ?偏見が酷いだけでなく、私の変な噂は今更どうにもならないし。だから今もキャンピングカーでフラフラしてるわけ」

「そうだ!思い出したわ!」

伯母が唐突に言い出す。

「ケアハウスといえばね、私のお友達夫婦がケアハウスに入居したから、仙台にある空き家を誰かに譲りたいんですって。固定資産税を払いたくないから、50万で売りたいって言ってたわ。ねぇ、美音里ちゃん。実家を離れたいなら、その家を買ったらどう?」
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