居候が恋に落ちるまで【新作】
道中、最初こそロックをガンガンかけて走っていたが、途中で疲れを感じ、ヒーリングミュージックに変えていた。

いま見ている風景と、やけにマッチしている。

「あ!あった!」

めでたく、目的地である洋館…私の家が見えた。

門の前に車を停めたのだが、何故か庭で水を撒いている人がいる。

まさかの庭師付き?

そんなことってある?

車を降り、

「すみませーん!」

庭にいる人に声をかけると、彼はこちらへ近づいてきた。

「どうしました?」

目の前の彼は、何処となく浮世離れした美しい男性だった。

「私、ここに引っ越してきたんですけど」

「え…?」

怪訝そうな彼に、

「ほら、この写真と番地と…ここで合ってますよね?」

「ああ、その番地なら、お隣ですよ」

「え!?ここじゃないんですか!?」
< 15 / 23 >

この作品をシェア

pagetop