居候が恋に落ちるまで【新作】
いやいや、私はもう39のいい大人なのだ。

こんなことで怯えてどうする!

勇気を出し、土足のまま中に入った瞬間。

「ギャー!」

つい、叫んでしまった。

思い切り、床が抜けたのだ。

「大丈夫ですか!?」

後ろから声がして、振り向くと、さっきの彼だった。

「嗚呼…やっぱり、住めない状態だったんですね。引っ張り上げますよ。いいですか?」

あまりのことに言葉が出てこなくて、ただ頷くと、見かけによらず強い力でひょいと持ち上げられた。

「あ、ありがとうございます」

「どうしてまた、こんなところに引っ越してきたんですか?」

「伯母の友人が、仙台の家を50万で売りたがっているとのことだったので…しかも、ここ、本当に仙台ですか?」

「一応、住所は仙台市ですけど、超過疎地と呼ばれてますね」

やはり、下見するべきだった…。
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