居候が恋に落ちるまで【新作】
「お邪魔しまーす…」

隣の洋館は、外観だけでなく、内装も綺麗だ。

しかも、変な現代感がなく、レトロでもある。

「凄いですね…うちとは大違い」

その美しい彼は、美しい所作で紅茶を差し出してくれた。

「あ!そうそう、お隣さんに渡そうと思ってたんです、これ」

タオルセットを渡すと、

「お気遣いありがとうございます。ん…?アイモノさんっておっしゃるんですか?」

彼は、熨斗に書いてある“四十物”という文字を見て尋ねる。

「あ、読めました?その漢字、すぐに分かる人って、なかなかいないんですよ。最近じゃ、四十女って自虐してますけど」

「名前は美音里さんだったりして」

まさかの言葉に、少し怖くなった。

「なんでわかるの…?」

「え!?ああ、実は、知り合いに四十物さんが居るんですよ。アイモノミネリさんって人が」
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