居候が恋に落ちるまで【新作】
朝晩はすっかり涼しくなった今日此の頃。

祖母の二十七回忌で、久々に埼玉の伯母宅に親族が集った。

「母さんの法事も次でもう終わりね」

少し寂しそうに伯母が言う。

彼女は、なんやかんや理由をつけて親族で集まるのが好きなのだ。

どうか、私に矛先が向きませんように…と思っていたら、

「美音里ちゃん。もう、可能性が残ってるのはあなだけなんだけど、結婚しないの?」

やっぱり来た…。

私は、いとこの中では最年少。

他にも独身のいとこは居るのだが、皆アラフィフということもあり、ギリギリ30代である私に矛先が向きやすい。

あと何年経てば、言われなくなるのだろう。

「あー…私、もういいの」

そう言って流そうとしたのに、

「何を言ってるのよ。綺麗で頭もいいし、まだチャンスはいくらでもあるでしょう?」

首都圏ならば、そうなのかもしれない。
< 2 / 13 >

この作品をシェア

pagetop