居候が恋に落ちるまで【新作】
しかし、彼は全く気を悪くする様子もなく、

「中途半端な田舎で生まれ育って、ずっと変人扱いされてきたので、音大進学で上京したんです。でも、都会すぎるのもまた合わないし、仙人みたいな暮らしをしたいな、って」

「なるほど。やっぱりここって、仙人みたいな暮らしするエリアなんですね。仙台というよりは、仙人」

彼はクスクス笑いながら、

「これから、どうするつもりなんですか?」

「それは…返品できるようなものでもないし、いっそ私も、此処で仙人みたいな暮らしをするのもアリだと割り切るしかない気がします」

「それは歓迎ですけど、あの状態じゃ住めないですよね」

「幸い、キャンピングカーで来てますし、仕方ないから庭で暮らします…って、よく考えたら、無理だわ…」

思わず頭を抱えてしまった。
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