居候が恋に落ちるまで【新作】
「付き合ってないわよ。とりあえずデートしただけで、この人はないなと思ったら、もうそれ以降は関わらなかっただけで」

「もう…それがアカンのよ。特に中学生なんて、二人で一緒に帰っただけでも付き合ってる内にカウントする子は多かったのに。未だに根に持ってる人もいるよ。ホント、言いにくいけど…中島さんとかね。彼女、川村くんと結婚したんだけど、昔、美音里が川村くんを振ったこと、夫婦揃って今でも恨んでるってことは、同級生の間では有名な話だし」

誰それ?と思ったが、私をクビにした川村さんというお宅を思い出した。

もしかしたら、その親類関係なのかもしれない。

逆恨みにもほどがある。

田舎の酷い噂、そして偏見に辟易した私は、家庭教師の仕事を辞め、地元の人たちと関わらぬよう、普段はキャンピングカー暮らしをしているのだ。
< 9 / 18 >

この作品をシェア

pagetop