モテ男でインキュバスな彼は魅了の力を無くしたい
異常なまでのモテ男
どこの学校にも、女の子から人気のある男子の一人や二人いると思う。
ただ一つ。この学校が他と違うのは、その人気があまりにも凄まじいということ。
「ああ、今日もカッコいい」
「この学校に入ってよかった」
「よく見たら後光が差している」
ただ歩いているだけなのに、女子生徒からは次々とそんな言葉が囁かれる。
サラサラとした髪をなびかせながら歩く彼は、舞台役者もかくやと言いたくなるくらいの整った顔立ちをしていて、掛けられた黒縁のメガネが、知的な印象を醸し出している。
彼の名前はエルヴィン=オウマ。私達と同じ一年生の彼は、その美貌で瞬く間に学校中の女子を虜にしていた。
隣にいるパティもだってそう。
「オウマ君、今日もカッコいいな。目の保養だよ」
彼が教室に入ってきたとたんこの調子だ。
「パティも相変わらずオウマ君のこと好きだね」
「そりゃ好きだよ。でも別に付き合いたいとかじゃなくて、眺めるだけの観賞用ってとこかな。あの取り巻き達の中に割って入るほど命知らずじゃないからね」
オウマ君の近くには、女の子が集まってるけど、特に近くにいるのはだいたいいつも同じようなメンバー。そしてそのほとんどが、上流貴族の息女達で占められていた。
オウマ君も代々続く伯爵家の一人息子だけど、家柄で言えばそれより上位の子だっている。
最近じゃ、貴族と平民の差は埋まってきてるけど、家柄による格差ってのはやっぱりあって、より強い家柄や立場の子ほど、オウマ君の近くにいられるというシステムになってるみたい。
「確かに、あの中に割って入るのは大変そう」
それにしても。私はそんなオウマ君を見て、前々から疑問に思っていることがあった。
「いくらなんでも、ちょっとモテすぎじゃないかな?」
「モテすぎって、オウマ君が? いやいや、だってあんなにカッコいいじゃない」
驚くパティだけど、実際そう思うんだから仕方ない。
もちろん、私だってオウマ君はカッコイイと思うよ。だけどいくら顔がよくても、それだけであんなにモテるものかな?
「だってオウマ君って、プレイボーイみたいなタイプでもないでしょ。むしろ、女の子からアプローチされても、ほとんど無反応じゃない」
今だってたくさんの女の子に囲まれているけど、その態度はなんだか素っ気なくて、どこか疲れているようにも見えた。
「ガツガツしながら女の子のお尻を追いかけてるより、ずっといいじゃない。それにクールなメガネ男子って、それだけでポイント高いんだよ」
「そう言うものなのかな?」
「そうだよ。私としては、シアンがそれだけ淡白なのが不思議なくらい」
うーん、確かに他の子達の反応を見ていると、私の方がおかしいのかなって思ってしまう。何しろ生まれてこの方恋なんてしたこと無いし、そんな暇があったら節約術を考えてた方が有意義だって思うくらいだから、ズレていると言われても否定はできない。
「どうせ私は、男子の良さなんて分かりませんよーだ」
「まあまあ。シアンだってそのうちきっとわかる日が来るって」
まあ、わからないならわからないで別にいいけどね。男子への憧れや恋なんてなくても、死にはしないし。
こんなこと思ってる時点で、憧れや恋なんて当分わからないんだろうな
ただ一つ。この学校が他と違うのは、その人気があまりにも凄まじいということ。
「ああ、今日もカッコいい」
「この学校に入ってよかった」
「よく見たら後光が差している」
ただ歩いているだけなのに、女子生徒からは次々とそんな言葉が囁かれる。
サラサラとした髪をなびかせながら歩く彼は、舞台役者もかくやと言いたくなるくらいの整った顔立ちをしていて、掛けられた黒縁のメガネが、知的な印象を醸し出している。
彼の名前はエルヴィン=オウマ。私達と同じ一年生の彼は、その美貌で瞬く間に学校中の女子を虜にしていた。
隣にいるパティもだってそう。
「オウマ君、今日もカッコいいな。目の保養だよ」
彼が教室に入ってきたとたんこの調子だ。
「パティも相変わらずオウマ君のこと好きだね」
「そりゃ好きだよ。でも別に付き合いたいとかじゃなくて、眺めるだけの観賞用ってとこかな。あの取り巻き達の中に割って入るほど命知らずじゃないからね」
オウマ君の近くには、女の子が集まってるけど、特に近くにいるのはだいたいいつも同じようなメンバー。そしてそのほとんどが、上流貴族の息女達で占められていた。
オウマ君も代々続く伯爵家の一人息子だけど、家柄で言えばそれより上位の子だっている。
最近じゃ、貴族と平民の差は埋まってきてるけど、家柄による格差ってのはやっぱりあって、より強い家柄や立場の子ほど、オウマ君の近くにいられるというシステムになってるみたい。
「確かに、あの中に割って入るのは大変そう」
それにしても。私はそんなオウマ君を見て、前々から疑問に思っていることがあった。
「いくらなんでも、ちょっとモテすぎじゃないかな?」
「モテすぎって、オウマ君が? いやいや、だってあんなにカッコいいじゃない」
驚くパティだけど、実際そう思うんだから仕方ない。
もちろん、私だってオウマ君はカッコイイと思うよ。だけどいくら顔がよくても、それだけであんなにモテるものかな?
「だってオウマ君って、プレイボーイみたいなタイプでもないでしょ。むしろ、女の子からアプローチされても、ほとんど無反応じゃない」
今だってたくさんの女の子に囲まれているけど、その態度はなんだか素っ気なくて、どこか疲れているようにも見えた。
「ガツガツしながら女の子のお尻を追いかけてるより、ずっといいじゃない。それにクールなメガネ男子って、それだけでポイント高いんだよ」
「そう言うものなのかな?」
「そうだよ。私としては、シアンがそれだけ淡白なのが不思議なくらい」
うーん、確かに他の子達の反応を見ていると、私の方がおかしいのかなって思ってしまう。何しろ生まれてこの方恋なんてしたこと無いし、そんな暇があったら節約術を考えてた方が有意義だって思うくらいだから、ズレていると言われても否定はできない。
「どうせ私は、男子の良さなんて分かりませんよーだ」
「まあまあ。シアンだってそのうちきっとわかる日が来るって」
まあ、わからないならわからないで別にいいけどね。男子への憧れや恋なんてなくても、死にはしないし。
こんなこと思ってる時点で、憧れや恋なんて当分わからないんだろうな