キヌコさん、これからも よろしくね
第二章

初仕事は

 カチャリ……。
 キヌコさんが契約者、東田様の部屋入って来た。
 キヌコさんは、東田様の部屋全体を見渡すと、
 「男性、一人暮らし。そうね、年齢は二十代位かしら?
年の割には、意外と片付いてるほうかしらね……」と言った。
 キヌコさんがテーブルの上に無造作に置かれた雑誌を重ねる。
 「ん? 何かしら……これ」とテーブルの上に置かれた一枚の紙を手にとった。

 今日から、仕事をしてもらえる方へ
 初回ですので、先ずは、軽く掃除機をかけていただき、ごはんを炊いて、味噌汁と焼き魚を焼いておいて
ください。材料は冷蔵庫に入っています。
 宜しくお願いします。 東田
 と書かれた紙。

 「ふ~ん、先ずはお手並み拝見ってところですか……」
 と呟いたキヌコさんはニヤリと笑い冷蔵庫を開けると
食材のチェックをした。
 トントントンと具材を切る音が部屋中に響く。
 コトコトコトとご飯の炊ける音も聴こえる。
 キヌコさんは、東田様からの要望、部屋に掃除機をかけ食事の準備をした。
 テーブルに置かれた焼き鮭、そして伏せたお茶碗と
お椀、手前にはお箸を並べ、その横に一冊のノートを
置くと、
 「さあ、今日はこれでおしまいですね」
 と呟き部屋を出て行った。
 カチャッ……。
 誰もいない部屋にドアの閉まる音が響く。
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