苦手な上司と契約結婚したら、予想外の甘やかされ生活が始まりました【極上男子の執着愛①】

「リリアンさん。王妃殿下がお呼びでございます」
「わかったわ。すぐに行きます」

 二十一歳になった私は、王城で【女官】として働いていた。

 本来侍女と女官は裕福な商家の娘とか、貴族の娘とかがする仕事。

 けれど、私に読み書き計算ができたこととか、王妃殿下に気に入られたこととか。そういうことで、女官にジョブチェンジした。

 メイドは下働きだけれど、女官というのは女性の職業ではかなりの上位に位置する高給取り。そう、私のお給金は格段にアップした。

(とはいっても、もちろんそう簡単に借金はゼロにならないんだけどね……)

 一応妹の稼ぎもあるので、それなりの暮らしは出来るんだけれど……と、こんなことを考えていても虚しいだけだ。

「っと、よし、行きましょう」

 時刻は午後三時。この時間に王妃殿下に呼び出されることは本当に多い。

 王族に仕える使用人には個人の仕事部屋が与えられる。現在の私は王妃殿下の専属女官なので、とてもいい待遇だ。
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