今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
『はい。ですが、着替えが……』
 手にしていた彼らの着替えはぐちゃぐちゃになってしまった。
『あぁ。洗濯物を増やしてしまって申し訳ありません。また、お願いします』
 そう言ったガイルもオリベルの元へと向かい、魔獣と向き合った。
 魔獣は無事、第五騎士団の面々によって討伐され、幸いなことに怪我人も出なかったはず。なのだが――。
(本当に、怪我人はいなかったのかしら? だって、私を助けてくれたオリベル団長の服には血がついていた……誰の血?)
 ラウニは水を飲んでいたオリベルのシャツの釦に手をかける。
「ラウニ……な、何を……」
 オリベルからは戸惑いが感じられたが、けしてこれからラウニが彼の貞操を奪おうとかそういう状況ではない。
「やっぱり……オリベル団長。どうして黙っていたんですか!」
 彼の肩には何かが刺さったような穴が二つあった。
「あのとき、魔獣に噛まれたんですか?」
「大したこと……じゃない」
「私をかばったばかりに……」
「違う……ラウニ、おまえの……せいじゃない……。あのような場所に、魔獣を入れてしまった……俺たちの失態だ」
< 10 / 26 >

この作品をシェア

pagetop