今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
 息も荒いというのに、オリベルはラウニを気遣うような言葉しか口にしない。
「あの魔獣は毒を持っているのを、団長もご存知ですよね? どうしてすぐに適切な処置を受けなかったのですか? もしかして、俺なら大丈夫とか、そんなふうに思っていたわけではないですよね?」
「……うっ……」
 どうやら図星だったようだ。
「薬をもらってきます。オリベル団長はおとなしく寝ていてください。あ、せっかくだから先に着替えましょう」
 ついでだから、とでも言わんばかりに、ラウニは汗をかいたオリベルの身体を拭き始めた。
「お身体は辛いですか? すぐに薬をもらってきますので、もう少し我慢してください」
「水を飲んだから……少しは楽になった。……迷惑をかけて……すまない」
「そう思うなら、もっと自分の身体を大事になさってください」
 ペシっと背中を叩いてから、新しいシャツへと着替えさせる。
「それに、こんなになる前に医務室へ行ってください」
「いや……行こうとしたんだが……身体に力が入らなくて……無理だった」
「私が来なかったらどうするつもりだったんですか!」
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