今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
 寝台に横たわっているオリベルは、やはり苦しそうに「うんうん」と唸っていた。だけど、ラウニが来ると平気な振りをするのだ。
 先ほどだって、水を飲んだだけで楽になっただなんて、ラウニを心配させないようにと振舞っていた。
 ラウニがそれに気づいたとしても、知らんぷりするのも必要だろう。
「オリベル団長……薬をもらってきました。飲み薬と、あとは塗り薬です」
 今だって苦しそうに唸っていたのに、ラウニが声をかけただけでその表情を少しでも引き締めようとする。
「身体、起こせますか?」
 支えるように手を伸ばすと、ラウニの助けなど不要だとでも言うように身体を起こす。
「君には……みっともないところばかり……見せているな……」
「怪我をして寝ているのは、みっともないところではありませんよ」
 まずは飲み薬を手渡した。黒い小瓶に入っている液体の薬だ。それを見ただけで、顔をしかめるオリベルが、少しかわいらしく見えた。
「この薬か……不味いんだよな……」
「良薬は口に苦しと言うじゃないですか。ほら、くいっといってください。くいっと」
 まるでお酒の一気飲みのようなラウニの言い方に、オリベルも心を決めたのか、一気にくいっと飲み干した。
< 13 / 26 >

この作品をシェア

pagetop