今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
「……不味い」
「お口直しの果実水です」
 すぐさま、さわやかな果実水の入ったグラスを手渡した。
「ありがとう」
 オリベルは、それも一気に飲んだ。
「はぁ……」
「では、傷口の手当てをしますね。出血は止まっているようですけれども、毒の中和をしなければなりませんから」
 手当をするために、ラウニはオリベルのシャツを脱がしにかかる。
「お、おい……何をするんだ」
「何って……手当をするんですよ? そのためにはシャツを脱がないと。団長、手もふるえているから、釦をはずすのが難しいのかと思ったのですが……」
「な、なるほど。そうか……だったら、お願いする……」
 いったい何を考えたのだろうか。
 そんな気持ちを胸に秘めて、チラリとオリベルを見やる。ほんのりと頬が赤く染められているのは、まだ熱が高いからだろうか。
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