今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
 先ほど、新しいシャツに着替えさせたばかりだというのに、それもまた、汗でしっとりと濡れていた。
「先に、身体を拭きますね。汗をかいて気持ち悪いですよね」
 てきぱきと動くラウニを、オリベルは黙って視線で追っていた。
 それをどこか誇らしく感じたラウニは、余計に張りきって動き回る。
 オリベルは、ラウニを信頼している。それが感じられるからだ。
 桶にためてある温湯に新しい手巾を浸して、きつく絞る。
「まだ、身体はお辛いですか?」
「いや。あの苦い薬が効いてきた、ような気がする」
「それは、よかったです」
 ほっと安堵のため息をつき、今度は傷口に塗り薬を塗って、綿紗をあてた。そこをぐるぐると包帯を巻くのだが、場所が場所なだけに巻きにくい。どうしても、オリベルに抱きつくような形になってしまう。
 汗ばんだ肌からする雄々しいにおいにすら、ドキリとしてしまう。背中にまで手を伸ばして包帯を巻こうとすれば、その胸板の厚さに心臓が跳ねる。
 緊張のあまり、ゴクリと喉を上下させたがその音が彼に聞かれてしまったのではないか。
< 15 / 26 >

この作品をシェア

pagetop