今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
 ラウニが呟くとオリベルは嬉しそうに笑った。
『そうだろう? オレの自慢の弟だ』
 不思議なことにオリベルに抱っこされた赤ん坊は、すやすやと寝息を立てていた。そして血の繋がりのない兄弟を見守っていたのも会長夫妻だった。
 ラウニの父親も会長夫妻を気に入ったようで、ニッカネ商会に商品を卸すようになったのはこれがきっかけだった。
 さらにラウニがオリベルを意識するようになったのも、このときからだ。
 彼が騎士団に入団したと聞いたとき、事務官となれば側にいられるのでは? と思った。
 だけどまだ、この気持ちをオリベルに伝えることができない。
 拒まれるのが怖いから。
 だからまだ、このままの関係を続けていきたい。

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