今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
**~*~*~*

 燃えるように熱くて痛かった身体が、今はすっかりともとに戻っている。
 どこにいるのかと思って頭を振れば、額からはらりと濡れた手巾が落ちた。
(ラウニ……)
 オリベルのベッドに顔を伏せて、眠っている彼女の姿が見えた。
(夢ではなかったのか……)
 昼前、女性の叫び声が聞こえ、すぐさまそこへと駆けつけてみたところ、身体中、毛に覆われた大きな魔獣が、女性二人に襲い掛かろうとしていた。
 洗濯物を手にしている彼女たちは、洗濯メイドの一人と、ラウニだった。ラウニは着替えの補充のために、そこへ足を運んでいたのだろう。
 オリベルは迷うことなく、魔獣へ向かって走り出し、剣を向けた。魔獣の牙がラウニを狙った瞬間、その間に身体を滑り込ませた。
『……うっ』
 魔獣の牙はオリベルの肩をかすめた。だが、これで魔獣の動きは封じられた。右手に持っていた剣で魔獣の首を狙う。
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