今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
 少しだけしっとりとした空気が頬を包んだのは、人の体温と熱気を孕んでいるからだろう。
 素早く室内を確認すると、寝台の上で横になっている身体の大きな男がいる。
 間違いない、オリベルだ。
「オリベル団長……」
 オリベルは寝台の上で丸くなり、苦しそうに呼吸をしていた。
「オリベル団長!」
 ラウニは慌てて彼の側へと駆け寄った。スカートがばさばさと乱れるなどおかまいなしだ。
「オリベル団長、オリベル団長。どうされたのですか?」
 顔をのぞきこむと、彼の瞼はきつく閉じられ、額には玉のような汗をびっちりとかいていた。
「……ラウニか?」
「は、はい。熱があるようですね。今、身体を冷やすものを準備いたします」
 オリベルは息もあがり、顔も火照っている。暑いからか、上着は脱いだのだろう。寝台の下に乱暴に脱ぎ捨てられていた。
 シャツの釦の上三つは外されているが、そこで力尽きたのか、今はもうぐったりとしている。ただそのシャツも汗が滲み、肌がすけて見えた。
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