極悪人は仮面越しのまま彼女を溺愛する
御影が私に視線を落としたのが分かった。
「当然の務めでございます。……ですが私はお嬢様のボディーガードであるのにも関わらず、お守りすることができなくて……何と申し上げればよいか」
御影が首をたれて暗く思いつめた表情でぶつぶつと呟く。
「御影、いいの。……こうやって助けに来てくれただけで、私は十分救われたから」
心身ともに限界を迎えていた時、御影が私の目の前に現れた。
それだけで緊張の糸がほどけて、私は楽に息ができるようになった。
御影の腕の中、私は次第に意識を失っていく。
「お嬢様、お休みください。そして、本当に申し訳ありませんでした」
遠くで響く御影の声を聞きながら、私は深い眠りに落ちた。
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次に目覚めた時、窓の外はもう真っ暗だった。
「ん、……」
目をこすって体を起こすと、コンコンと扉をノックする音が聞こえた。
「はーい」