極悪人は仮面越しのまま彼女を溺愛する


御影が私に視線を落としたのが分かった。


「当然の務めでございます。……ですが私はお嬢様のボディーガードであるのにも関わらず、お守りすることができなくて……何と申し上げればよいか」


御影が首をたれて暗く思いつめた表情でぶつぶつと呟く。


「御影、いいの。……こうやって助けに来てくれただけで、私は十分救われたから」


心身ともに限界を迎えていた時、御影が私の目の前に現れた。

それだけで緊張の糸がほどけて、私は楽に息ができるようになった。


御影の腕の中、私は次第に意識を失っていく。


「お嬢様、お休みください。そして、本当に申し訳ありませんでした」


遠くで響く御影の声を聞きながら、私は深い眠りに落ちた。


 ❁


次に目覚めた時、窓の外はもう真っ暗だった。


「ん、……」


目をこすって体を起こすと、コンコンと扉をノックする音が聞こえた。


「はーい」

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