極悪人は仮面越しのまま彼女を溺愛する
「お嬢様、今よろしいでしょうか」
「うん、いいよ」
私は御影に入室の許可をくだし、布団を綺麗に整えた。
「お嬢様、ご夕食のお時間です。食欲はありますでしょうか」
御影が機械的にそう告げ、だけど最後の方の言葉には少し心配の声がにじんでいた。
「あまりないわ」
「でしたら、本日はカニとクリームのシチューでいかがでしょう」
「……ん、それだったら食べれそう」
私は小さく微笑んで頷いた。
❁
「お嬢様、本日は家庭教師が参る予定でしたが、キャンセルしておきました」
ご飯を食べ終え、入浴を済ませた私に御影がそう言った。
「……そっか。助かる、ありがとう」
私はベッドに腰を掛けて御影を見上げる。
そしてあることを思いついてにやりと口角を上げた。