極悪人は仮面越しのまま彼女を溺愛する


二人で教室に入って、そのままそれぞれ朝テストの準備をする。

私の高校では、毎日朝の十分間で英単語テストが行われるのだ。


「それでは朝テストを始めま~す」


副担任のおじいちゃん先生がプリントを各列に配り、開始の合図をする。


クラスメイトに倣い、私はシャーペンを手にスラスラと問題を解いていく。


おじいちゃん先生こと本田先生が終了の合図をかけると、次は隣の席の人同士で交換採点が始まる。

隣の席の男子から受け取ったプリントに赤丸をつけていき、お互い丸付けをし終わってプリントを渡した。


私のテストの点数は、もちろん今日も満点だった。


「京崎さん、いつも凄いよね。僕、京崎さんみたいに毎日朝テストで満点取るのが夢なんだ」


隣の席の澤谷くんがほがらかにはにかんで話しかけてきた。


「そう言う澤谷くんだって、いつも良い点とってるじゃん」


私がそう言うと、澤谷くんは「そうかな……?」と頬をかいて照れていた。


私の隣の席の澤谷くんは、色白の肌に猫毛な髪が特徴的なおっとり系男子だ。


そういう柔らかな雰囲気が多数の女子から支持されている。

いわゆる、モテ男子ってやつだ。

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