執着魔法使いの美味しい求愛
「ティルサ様は、魔法貴族ではないのですよね？」
「あ、はい……」
　その質問はティルサの劣等感をえぐるようなものだ。
「ですが、ものすごく魔力を備えているようですが……。どういった訓練をなさったのでしょうか？　わたくしも、エリン様のように女性でありながら王宮魔法使いに憧れを持っておりまして。ですが、わたくしの魔力は弱いのです。よろしければどうやって魔力を高めたのか、教えていただけないでしょうか？」
「魔力、ですか？」
　バーバラの言っていることがティルサにはわからない。
　そもそもティルサは魔法貴族ではない。ただの商人の娘。魔法を使えないし、バーバラが口にしている魔力もない。
「バーバラ様……。残念ながら、私には魔力がないと思うのですが」
「そんなことは。ティルサ様の手を握ってもよろしいでしょうか？」
　バーバラが言うには、魔力を感じるためには身体の一部に触れる必要があるようだ。力の強い魔法使いであれば、側にいるだけでわかるようだが、バーバラは触れないとわからないと言った。
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