執着魔法使いの美味しい求愛
「どうやらルトヘル様がティルサ様に魔力を注がれていたようですね。この魔力交換も、上級の魔法使いでなければできないと聞いております。さすがルトヘル様です。……あ。だから、あのとき……」
 すごいです、素晴らしいです。と、賛辞の言葉がバーバラから溢れ出てくる。
「あのパーティーで初めてティルサ様にお会いしたときも、魔法使いでないにもかかわらず魔力が溢れ出ていたというのは、本当だったのですね。そうか……、だからあのとき上級の魔法使いたちはあのような反応をしていた……。うわ、すごい……。だから、体型も変わられたんですね。もしかして、魔力を取り込めば取り込むほど、太ってしまう体質ではないのですか? 今は、その魔力がとても安定しています」
 バーバラの言葉には、ティルサが気になる言葉がいくつも出てきた。
 それでも心地よい風が頬を撫でつける。
「バーバラ様……。私とバーバラ様が初めてお会いしたのは」
「もちろん、ルトヘル様の誕生日パーティーです」
 となれば、ティルサが一番太っていた時期だ。
「あのときの私、太っていたでしょう? 醜かったでしょう?」
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