執着魔法使いの美味しい求愛
「ですが、ルトヘル様の魔力のせいでそうなられていたのですよね。わかる人はわかっていると思います。それって、魔法貴族では名誉なことなんです。好きな相手から魔力を注がれているというのは。だけど、全ての魔法貴族がそれを行えるわけではないのです。魔力が強い、上級魔法使いだけですから」
 だが、ティルサにはバーバラの言葉の意味はわかる。だが、理解が追いつかない。
「バーバラ様。魔力がどうのこうのって、私にはよくわかりません。もう少し詳しく教えていただいでもよろしいでしょうか」
「ええ、もちろんですわ」
 バーバラは、ティルサでも理解ができるようにかみ砕いて話をしてくれた。もちろん、それはティルサが知らないことばかりだった。
 ただ、バーバラの話を聞いてわかったことは、一年ほど前から太り始めたのは、ルトヘルに原因があったということ。
「ティルサ様、どうかされましたか?」
 表情の冴えないティルサを心配したバーバラが、顔をのぞき込んでくる。
「あ、ごめんなさい。本当に、知らないことばかりで……。また、いろいろと教えていただけますか?」
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