執着魔法使いの美味しい求愛
 ルトヘルとエリンは従兄妹同士である。
 幼いころから魔力の強かったルトヘルとエリンは、特に意識をしたわけでもないのに、将来的に結婚をしたらどうか、と周囲がもてはやすようになった。
 だがルトヘルは十六歳のときにティルサと運命のような出会いを果たす。
 それまではなんとなくエリンと結婚をするのだろうなと思っていた彼も、ティルサと出会ってから、それはおかしいと思うようになった。
 正直にその気持ちをエリンに伝えたところ、エリンもルトヘルには興味がなかったようで、「好きな人ができて良かったわね」とあっさりしたものだった。
 このときの彼女も、まさかその相手が八歳の女の子であるとは思ってもいなかったのだろう。それでもエリンだって十二歳だった。十二歳の割には大人びていた。
 そして、彼がそう告げてから、いつ婚約するのだ、結婚するのだ、としつこかった。挙句、ルトヘルの妄想ではないのか、と。
 それから十年後、ティルサが十八歳となったところで、魔法貴族たちにティルサを紹介した。
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