執着魔法使いの美味しい求愛
 ルトヘルはティルサの味方となる人物としてエリンを選んだし、ノーラも同じように考えていたようだった。
『あなたの妄想じゃなかったのね』
 彼女は嬉しそうに笑っていた。
 本当に嬉しかったのだろう。このままルトヘルが婚約も結婚もせねば、消えかけていたルトヘルとエリンの結婚話が再浮上してしまうのだから。
 だからこそ、エリンを信用していたはずなのに。

 ルトヘルは食堂で昼食をとっていた。
「鬱陶しいわね」
 目の前にいるのは、もちろんノーラである。
「ティルサは、少し家に戻っただけでしょう? その少しの間も我慢ができないわけ?」
 どうやらティルサは、フレーテンの家に戻ると、ノーラに告げたようだ。
「昨日の茶会で、どうやらティルサに何かを吹き込んだ者がいるようなのですが。母さんは心当たりがありませんか?」
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