執着魔法使いの美味しい求愛
　それは、ティルサがこれからルトヘルと共に暮らすにあたり、その魔力に慣れる必要があったからとのこと。
　しかし、それによってティルサが太ってしまったのは、彼にとっても誤算だったようだ。
　そう説明されても、ティルサの怒りは静まらなかった。
　ずっと太っていたことに悩んでいた。彼の隣に相応しい女性になりたいと思っていた。
　その悩みの原因が、ルトヘルであったことに驚いたし、何よりも悔しかった。
　ルトヘルの言っていることが信じられないわけではない。だけど、信じたくなかった。
　だからティルサはつい、ルトヘルに言ってしまったのだ。
『ルトヘルは、胸が大きい子が好きなの？　だから、私をそうやって太らせて、胸を大きくしようとしたの？』
　ティルサのその言葉に、ルトヘルはかなり驚いたようだった。
　それからすぐに『違う。誤解だ』と言い出した。
　ティルサにとっては、何が正しくて、何が間違いなのか、わからなくなってしまった。
　一晩、眠ったら、冷静になれるかと思った。
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