執着魔法使いの美味しい求愛
 室内では何人かの人で荷物を運んでいるからか、カーテンが微かに揺れていた。
 ティルサは従業員たちに会いたくなった。そのため、裏口の方へと周りそこから店内へ入ろうとしたのだ。
『あっ……』
 ティルサは裏口から出てきた男とぶつかった。
 ――ガシャン。
 どうやら男は、ぶつかった拍子で荷物を落としてしまったようだ。
『ごめんなさい、すぐに拾います』
 ティルサがそう口にすると、男は慌てて落ちたものを拾い集めようとしていたのだ。
(あれ……。これ、魔宝石の原石。なんで、この人がこんなに持っているの?)
 ティルサがそう思ったとき、頭に強い衝撃が訪れた。

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