執着魔法使いの美味しい求愛
ティルサを襲っているのは劣等感だ。魔法貴族の中にいると、自分だけ魔法が使えないことに、引け目を感じてしまう。
その気持ちが相なって、ルトヘルに八つ当たりをしてしまったのだ。むしろ、感情の制御がうまくできなかった。
このような状態でも、考えるのはルトヘルのことばかり。
彼のことを考えるだけで、身体が切なくなるし、彼に触れたいとも思う。
そして今は、彼が助けに来てくれるのではないかと、甘い期待さえ寄せてしまう。
(だけど、ここに私がいるなんて、誰も知らないし……)
ティルサが閉じ込められているのは、あの魔宝石店の地下にある倉庫だ。入り口は店舗の奥にあるため、従業員しか知らない。定期的に店に顔を出していたルトヘルでさえ、この地下室の存在は知らないはず。
となれば、イリスかマクシムに期待を寄せるしかないが、彼らはティルサがシラーニ家にいると思っているだろう。
つまり、ティルサがここにいることを誰も知らない。
溢れそうになる涙を堪えるために、ティルサは瞼を閉じる。
その気持ちが相なって、ルトヘルに八つ当たりをしてしまったのだ。むしろ、感情の制御がうまくできなかった。
このような状態でも、考えるのはルトヘルのことばかり。
彼のことを考えるだけで、身体が切なくなるし、彼に触れたいとも思う。
そして今は、彼が助けに来てくれるのではないかと、甘い期待さえ寄せてしまう。
(だけど、ここに私がいるなんて、誰も知らないし……)
ティルサが閉じ込められているのは、あの魔宝石店の地下にある倉庫だ。入り口は店舗の奥にあるため、従業員しか知らない。定期的に店に顔を出していたルトヘルでさえ、この地下室の存在は知らないはず。
となれば、イリスかマクシムに期待を寄せるしかないが、彼らはティルサがシラーニ家にいると思っているだろう。
つまり、ティルサがここにいることを誰も知らない。
溢れそうになる涙を堪えるために、ティルサは瞼を閉じる。