執着魔法使いの美味しい求愛
「あそこで何があったか。本当は、王宮魔法使いとして君から話を聞かなきゃならないんだ。だけど今、話すのは辛いだろう? 落ち着いて、話せるようになってからでいいから」
「うん、ありがとう。そして、ごめん」
「どうしてティルサが謝るの?」
「ルトヘルにたくさん酷いことを言ったから。でも、ルトヘルと離れて、やっぱりルトヘルの側にいたいと思った」
 ティルサはぎゅっとカップを両手で包み込む。
「やっぱり私。ルトヘルのことが好き。ルトヘルに相応しい女性になりたい」
「ティルサ。それ以上、オレを煽らないでくれ」
 ティルサの唇が封じられたのは、すぐだった。

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